明日には忘れる程度の意思で ページ24
「ばくごーう」
間延びした声で俺を呼ぶ夜野は、人様のベッドであるにも関わらず遠慮無しにダイブした。その衝撃でほこりが舞って咳き込んだ。
「クソが」
夜野が俺の部屋に来るようになったのは3週間前のことである。日にちをしっかり覚えているのはたまたま、偶然、俺の記憶が良いせいだ。
クソ髪の彼女である夜野がメソメソグスグスと消灯時間前に俺の部屋に行くための階段に座り込んで泣いていたので、何かあったのかと思い引っ掴んで自分の部屋に放り投げた。
そして部屋で話されたことと言えば、
「鋭児郎は乙女心を分かってない！」
だそうだ。
知るかボケ。クソ髪にンなモン求めんな。そう言ったら夜野はその日からクソ髪と何かある度に俺の部屋に来た。俺のキッパリとした裏表が無い言葉が欲しいらしい、うぜぇ。
「鋭児郎がさあ」
ベッドにダイブしたまま起き上がらない夜野はうつ伏せのまま話し始めた。内容は「他の女の子に優しくしてたんだけど、絶対相手の女の子惚れたよね？もうどうしよう」だった。
「知らねえよ」
「なんか言ってよ！」
私は爆豪の言葉を求めて爆豪の部屋に来てるんだから
俺が恋愛相談とか言うクソな理由で部屋に誰かしら上げると思ってんのかとか3週間前のあの日なんで泣いてるお前を無視しないで話を聞いてやったのか分かってんのかとか最近化粧変えたのクソ髪の影響なんかとか。
目の前でじたばたする夜野を見て思った。
俺の言葉を求めて俺の部屋に来てるなんて俺を頼りにしているお前が嬉しいとか
「好きだ」
言葉を求めてるなら、とそう言えばお前は「暑さでおかしくなった？」と笑ってまたクソ髪のことについて話し始める。
分かっていたはずなのに分かった気になっていたはずなのに入り込む隙間なんてあるはずないのに、
まるで俺が眼中に無いように、あくまで冗談だろうと振る舞うお前は、絶対に俺に振り返ることは無いんだなと改めて認識させられて、この暑さに溶けてそのまま死にてぇと心の底から思った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 80人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆう(プロフ) - オバホ好き、、優しいんだろうなって常日頃思う (2022年8月29日 17時) (
レス) @page26 id: 43275f8478 (このIDを非表示/違反報告)
ねむ(プロフ) - 小川優さん» そう言ってもらえて嬉しいです！ありがとうございます！ (2022年8月15日 3時) (レス) id: f378124263 (このIDを非表示/違反報告)
小川優(プロフ) - 全部重ためだけど短いからブルーにならずに読めていい!!! (2022年8月14日 1時) (レス) @page24 id: 43275f8478 (このIDを非表示/違反報告)
ねむ(プロフ) - 真昼さん» だいたい月1で作品を書いているので、いつになるかは分かりませんが続きます。 (2022年8月5日 16時) (レス) id: f378124263 (このIDを非表示/違反報告)
真昼 - 続きますか？ (2022年7月22日 0時) (レス) @page24 id: 279e5ec09b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ねむ | 作成日時：2021年11月23日 20時
