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弐-24 ページ30

時間が経つのは本当に早くて、暑さも収まり、夕方の空気がかなり涼しく感じられる

今日も一日最後の力を振り絞って山から屋敷まで走り、屋敷の中に入ると何やら懐かしい匂いがした

「おかえりなさいAちゃん!」

「今日はコロッケだぞー」

「わぁ…私コロッケ大好きなんです、嬉しい」

「そうだったのね、良かったわ。もうすぐで作り終わるから、先にお風呂に入ってらっしゃい」

「はい!」

コロッケなんて本当に久しぶりだなぁ

たまに家族三人で出かけた時にお店で食べたり…楽しかったな



「はぁ…温かい…」

湯船に浸かっているとしみじみと思い出される、楽しかった家族三人で暮らしていた時

今も幸せだけど、やっぱり…お父さんとお母さんに会いたいなぁ

『Aは私たちの宝だよ』

大袈裟だよ、と言って笑いあったあの日ももう戻ってこない

今となると、私にとっても両親は宝のような存在だった

「…」

取り戻せない幸せほど辛いものは無い

いつぶりかも分からない涙が溢れてくる

「…お父さん、お母さん…っ」

呼んでも返事は返ってこない

会いたいよ…せめて私が大人になるまで見てて欲しかった

一回考えてしまうと止まらない

そうだ…だから思い出してはいけない、考えてはいけない

「…っ」

それに…このままじゃ湯船に涙が入ってしまう

「ふぅぅ…」

すぐに深呼吸をして自分を落ち着ける

だめだ…コロッケでここまで泣くとは…

情緒不安定にも程がある

きっと疲れているからだな…今日はゆっくり休もう

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
まきをside

Aが手拭いを忘れていたからお風呂場まで届けに来てみたら

『…お父さん、お母さん…』

浴室からすすり泣く声が聞こえて驚いた

Aはしっかりしていて、真面目に稽古をしているし、年齢よりずっと大人びた子だと思っていた

でもやっぱりまだ十三歳の女の子…

親を失ったのは十歳の時だと聞いた

私たちみたいに幼少期から戦いの場に行くことを前提に訓練を受けていた訳でもないし、家族が忍や剣士だった訳でもない

つい最近まで普通の家の娘として生きてた子だ

辛くないはずがない…

しっかりしてても、強くても…ちゃんとAは年相応の女の子なんだ…

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みやびりじゅ(プロフ) - 嬉しいです、ありがとうございます!頑張ります! (2022年11月5日 22時) (レス) id: eaba6d63f6 (このIDを非表示/違反報告)
七星 麗華 (ななぼし れいか) - 面白かったです!!更新楽しみに待っています!!! (2022年11月5日 17時) (レス) @page39 id: 50853c9852 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みやびりじゅ | 作成日時:2022年1月21日 21時

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