205〈笑えない君に〉 ページ41
大貴side
大きいサイレンの音が頭で響いた。
嫌なくらい眩しい緑のライト。
嫌なくらい静かな廊下。
「手術中」そう書かれた文字がいつまでも消えない。
誰のせいだ？俺のせいか？
誰のせいでもないのか？
そんなわけはない。
元々裕福ではない俺の家庭。
父親は呆気なく俺を捨てた。
「母さんを助けるために必要なんだ。」
俺は商品か何かなのか。
複雑だなんてもんじゃない。
大きな音を立て一瞬で全てが崩れた。
俺は捨てられた。間違いない事実だった。
「まぁ、よろしく。すぐ出ていくけどさ。」
「人間って笑っただけでストレス無くなるんだってよ！すごくねぇか？」
「笑えねぇなら筋肉を付けりゃいいさ。」
「いつか自然に笑える日までゆっくり待つよ。」
。
退院が決まり荷物を纏める。
荷物をまとめているといつも、あの家に行く前の日のことを思い出す。
リーダー格でみんなの事を纏められて、頭が良くてでイケメンで……長身で。
誰もが羨むような薮くんは、あの日俺に前を向かせた。
「笑えない明日はいらない」
ハッキリと言ったその言葉を、信じてみようと思ったんだ。
二宮「また来ないでくださいね。」
大貴「っ！？びっくりしたぁ。……大丈夫です。当分来ないんで！」
二宮「一生来ないでください。」
大貴「……ちょっとは俺に会いたかったり」
二宮「しない。」
大貴「辛辣な……」
明日からずっと待ち続けたBESTでの暮らし。
もう苦しいことなんかない。
前を向ける。
二宮「……本当に会わなくていいのか？」
大貴「……何回も言ったじゃないですか。あの人は俺の母親なんかじゃありません。」
二宮「……それでいいのかよ。」
大貴「いいの。俺はこの場所で生きる。そう決めたから。」
納得いかなそうな先生に頭を下げる
大貴「今までお世話になりました！」
何も返事はしなかったけれど、フンと鼻で笑った。
。
薮くん。
俺は薮くんのことを見守り続けるよ。何も出来なくっても、あの日薮くんがしてくれたように
笑顔でどこまでもついて行くから。
。
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華代(プロフ) - はじめまして。 一気読みでしたが、素晴らしい作品で、感動しました。 また初めから読んでみたいと思います。本当にお疲れ様でした！ (2021年2月4日 18時) (
レス) id: d952e3b0da (このIDを非表示/違反報告)
まる - 今までお疲れ様でした！俺らシリーズ含め猫チャロさんの作品が大好きです。占ツクから離れた時期もこの作品だけは思い出しては読み返していました。完結まで書いて頂き感謝しかありません。この作品に出会えたことを幸せに思います。 (2020年8月6日 4時) (レス) id: 9463c2f9d9 (このIDを非表示/違反報告)
You(プロフ) - チャロちゃん居なくなってごめん。影でずっと見てたよ。今までおつかれ様でした！悠樹 (2020年2月14日 11時) (レス) id: 6822cd0dae (このIDを非表示/違反報告)
光音 - こんばんは。今お話読ませてもらいました。猫チャロさんのお話、大好きです。伊野尾さんのキャラ設定、私の中のどストライクでした。これからもまだ読んだことのない猫チャロさんの子供、読ませてもらいます。ありがとうございました。 (2020年1月27日 20時) (レス) id: df7638da7e (このIDを非表示/違反報告)
青空と虹(プロフ) - 今までありがとうございました。そして、お疲れ様でした。寂しいですが、猫チャロさんの子供たちを大事に大事に読み返そうと思います。このアカウントを作って活動を始めたのは、猫チャロさんのお話を読んで感動したのがきっかけでした。人生を変えてくれてありがとう。 (2019年11月15日 1時) (レス) id: 4cc456b6d8 (このIDを非表示/違反報告)
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