第150夜 ただいま、ソロモン!! ページ3
ザァァと、優しい風が世界を包む。
そんな世界の一角で、大きなフードを被り佇む者たちが…。
「ん〜! 風が気持ちい〜」
その体格に不釣り合いなフードのせいで顔は見えないが。
その数、7名…。
ーー
「A…。どこで寄り道してるんだ」
「ソロモン、Aは7年前に死んでるのよ」
「違う…!! 少し長い寄り道をしてるだけだ!!」
百戦錬磨の異名を持ち、仲間から慕われた彼女達が死んでから7年の月日が経過した。
それぞれ前を向き歩みを進める中で。
王となったソロモンだけは、未だに現実を受け入れられずにいた。
「生きて帰ってくることを約束したんだ!!」
『条件?』
『必ず生きて帰ってこい』
ずっと昔から一緒にいた彼女をなくして、7年経った今もその面影を探し求めてしまうのだという。
基地の異種族も、アルバやウーゴだって悲しみを乗り越えた。
ライはたくさんの魔法を覚え、今ではちょっとしたリーダー的な存在である。彼女達が帰ってきたら七魔道士団に入れてもらうと言っている。
「ソロモン。せめて食事だけは食べてよ…」
ー食べないからチビのままなんだよ君はー
「貴方まで死んだら…、わたしっ!」
ー生きてる限り、またどこかで会えるさー
時折、幻聴が聞こえるという。
それは痛いくらいに懐かしく、暖かい。
愛する人の声…。
ーー
「世界も7年の間にだいぶ様変わりしちゃいましたね」
「グヌードなんてほとんどないぜ?」
キラキラと。光に反射する神杖を手に持ち。
たまに天高くほおり投げては落下するそれを器用にキャッチする。
わいわいガヤガヤ。
7人の間を楽しい時間が時を刻む。
「さて!! そろそろ行きますか」
「「「「「「はい!!」」」」」」
神杖を高く掲げ、くるりと一回転させればキラリと光る。
「目指すは本拠地!! そこが僕等の目的地だ!!」
ーー
ドタバタと、扉の向こうから駆けてくる足音が聞こえる。
バンッと勢いよく扉を開けたのはシバで。目にいっぱいの涙を溜めて、ぱくぱくと口を動かしている。
「ソロモン! はっ早く来て!! 」
強引に手を引かれ、連れて行かれるのは人混みのその先。
手を離され立ち止まった先で、片手を上げてくるそいつ。
「だれだ」
「ちょっと〜、この顔忘れたなんて言わないでよね?」
ぱさっ…。
手にかけられたフードが落ち。
金色の髪が風に揺れ、優しい匂いが舞う。
「ただいま、ソロモン!!」
「A!!」
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千年彗星(プロフ) - 夢雪さん» 読んでいただきありがとうございます! そして泣いてくださるなんて…! アルマトラン編を好きと言ってもらえて嬉しいです、ありがとうございます! (2018年3月25日 20時) (レス) id: c15a2aa7e8 (このIDを非表示/違反報告)
夢雪 - 悲しすぎるです!(´;ω;`)ウッ…すごく泣きました。無意識に気づいたら泣いてました。アルマトラン編私好きです。 (2018年3月25日 16時) (レス) id: a2e26e90a4 (このIDを非表示/違反報告)
千年彗星(プロフ) - ティナさん» だいぶ落ち着いてきました(*^^*) 声をかけてくださり感謝感謝です!! それに加え何回も見てくださってるとは…!! ゴールデンウィークあたりにはできると思うのでそれまで待っていてくださると嬉しいです(*^^*) (2017年4月28日 12時) (レス) id: 5483d583eb (このIDを非表示/違反報告)
ティナ(プロフ) - お久しぶりです! 落ち着いてきましたか? 何回も繰り返し見てます! 更新楽しみにしてます! (2017年4月27日 21時) (レス) id: c9a6aed029 (このIDを非表示/違反報告)
千年彗星(プロフ) - マロンクリームさん» コメントありがとうございます!! だんだん落ち着いてきたので更新もそろそろできると思います! これからもよろしくお願いします(*^^*) (2017年4月23日 0時) (レス) id: 5483d583eb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:千年彗星 | 作成日時:2016年6月25日 22時