【マギ】神出鬼没なマギ3.〜アルマトラン編.前編〜

第140夜 木々や草花の歓喜の声 ページ42

「A様包帯とれたんですね!!」

そう声をかけてくれたのはシトラー。
そう、なんと!!念願の復帰を果たせた今日!!

「今からお出かけですか?」

「統制は休みだから、ザガンと一緒に花の種植える」

「いっ一緒に…。2人きりなんてダメです!!私も行きます!!」

そう言って僕の右腕を占領するシトラー。
いやいや、もう少し手加減を…。てか、どれだけ密着したいんだ、かわいいな!!



そして歩くこと数分…。

「A様、おはようございます」

「おはよう…と言ってもお昼だけどね」

いやー、朝早く起きて手伝うつもりが。
あと5分、あと5分で気づけばお昼になっていたんだ!!ごめんよザガン!!

「シトラーもやろう!!皆でやろう!!今すぐやろう!!」

「A様と一緒なら!!」

そして3人で種植え。くぼみを作っては種をパラパラ。作ってはパラパラ…。パラパラ…。

「…」

「あっいけません!!今魔法を使って植えようとしてましたね!!」

「しっしてない!!」

なんて奴だザガン…!!僕のこの俊敏な動きを察知するとは恐ろしい…!

それからまた作業を再開する。けれど、慣れてしまえば早いもので。

見ろ僕の植えた後を!!素晴らしいほどに綺麗ではないか、ははは!!

「さて、シトラーはどうかなってるかな」

あの子凄く手間取ってたからね、大丈夫かな。
こっちは終わったからこの僕が手伝ってあげよう!!

「シトラー、だいじょう…」

「種を植えるだけなのに、どうして土が飛び散ってるんだ!!」

「黙りなさい!!これが私のやり方ですザガン!!」

あー、やっぱこうなったか。シトラーの植えた後はこう、何ていうか。荒れてるんだよね。
ザガンは花の事に関しては厳しいからね。

ギャーギャー騒ぐ2人を抑えながら、何とか作業終了。

「お疲れ様でした、2人とも」

パンパンと手についた土を払うと同時に、サァァア…と心地よい風が吹き木々や花が揺れる。

「木々が…、喜んでいますね」

「え?」

何に対して喜んでいるのかは分からない。それについてザガンも不思議そうな顔をしていて。

「王の心遣いが嬉しい…とか何とか」

「王…?」

「ザガンの言うことはよく分かりません」

抱きついてくるシトラーと、変わらず不思議そうな顔をしているザガンと3人。

風に揺れ動く草木を眺める…。




木々や草花が歓喜の声を上げる。
それは世界の王へ向けての感謝の言葉。

世界は2人の王が存在することで成り立っている。

どちらか1人が欠けるということは、決してあってはならない事なのだ。

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