第137夜 2人で ページ39
僕より先に包帯がとれた6人を医務室から送り出す。僕も自分の部屋へ移り、ベッドの上で寝転がっている。
「A、入るぞ」
本を読もうと広げた矢先、ソロモンが入って来た。
「返事してないのに入るなよ〜。着替え中だったらどうするの。僕の胸見て鼻血だすだろ」
「お前の胸の無さを目の当たりにして、ある意味鼻血だすかもな」
「帰れ!!」
あー、傷ついた。身体だけじゃなく心が傷ついた!!これは重症だわー。
ギシッと音を立ててベッドの端に腰を掛けるソロモン。そして本を手から奪い読み始める。
「この本、初めて読むな」
「君の知らない本なんて、僕の書物の山にたくさんあるさ」
グヌードに居た頃から部屋に来ては勝手に本を漁っていた彼。それでもまだ、尽きることのないその知識欲はどうしたものか…。
「なかなか面白いな…」
あーあ、自分の世界に入っちゃった。こうなったら暫くはあのまんまだから寝よう。
布団を掛け直し目を閉じると。
少しだけ鼻を掠めるソロモンの匂いがした。
ペラペラと紙をめくる音に目を覚ます。
「起きたのか」
「ん。この本、全部漁ったの?」
上半身を起こしてみれば、ベッドの上に散らばる本。手にとって見て見れば、僕の好きな物語ばかりで。
あれ?でも、僕が好きだって言ったやつは小さい頃に全て読破してたはずだけど…。
「お前が好きな物語は何度読んでもいいな」
「でしょ?旅のお話とかいいよね!!読んでるこっちもドキドキが止まらないっていうか!!」
その中の一冊の旅の本を手に取る。
「僕も戦いが終わったら。そんな世界を旅したいな」
異種族が苦しめられる姿もなく、人間が塔から抜け自由に住んでる世界。想像するだけで心が満たされる。
そしてそんな世界を神杖と荷物を背負って歩くでしょ?海では見たことのない魚とか見れたりして!!
「たくさんの初めてに出会えるかもね!!」
「あぁ、そうだな」
そう言うと、本をベッドの上に置くソロモン。そして僕の両手を包み込み握りしめる。
「A、その時は…」
「ん?」
「その時は、俺も連れてってくれ!2人で旅をしよう!!グヌードを抜け出した時みたいに」
サァァア…と、心地よい風が僕らの髪を揺らしていく。
「2人で旅して、2人でたくさんの初めてを見よう!!だからその時は俺も…!!」
「うん、いいよ」
2人でいろんなところを旅しようね。
でも、たまに価値観が違って喧嘩しちゃうかも。
そんな時はまた、2人で仲直りしようか。
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千年彗星(プロフ) - 青鷺さん» コメントありがとうございます!! 小説共々、頑張っていくので今後ともよろしくお願いします(*^^*) (2016年6月28日 6時) (
レス) id: 45d0ac0ce9 (このIDを非表示/違反報告)
千年彗星(プロフ) - マリーネさん» コメント感謝です(*^^*) 読者さまが楽しんでいただけたら幸いです! 今後ともよろしくお願いします!! (2016年6月28日 6時) (レス) id: 45d0ac0ce9 (このIDを非表示/違反報告)
青鷺(プロフ) - 千年彗星さん» 小説もだけど、受験頑張ってください！！！勉強？なにそれおいしいの？ (2016年6月28日 6時) (レス) id: cb35208076 (このIDを非表示/違反報告)
マリーネ(プロフ) - むっか〜。シンドバッドむっか〜。 (2016年6月28日 4時) (レス) id: 252b10e98a (このIDを非表示/違反報告)
千年彗星(プロフ) - きゅーちゃんさん» 好きと言っていただきありがとうございます!! 今後ともこの小説をよろしくお願いします(*^^*) (2016年5月2日 17時) (レス) id: 113143dc1c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：千年彗星 | 作成日時：2015年8月1日 13時
