【マギ】神出鬼没なマギ2.〜王の器になるべき者〜

第84夜 新たな物語の幕開け ページ35

僕の名はA。


旅が好きで、
彼方此方に現れては消えることから神出鬼没と呼ばれるようになった。


実はマギだけれども、金属器使いということで世の中を渡っている。


旅の中で盗賊団と出会ったり、どっかの誰かさんの王候補の国で一悶着あったりもした。







だが!!!


「あんた…」


こんな大胆なカツアゲみたいのに遇ったのは今日が初めてで、内心とても焦っている。





テーブルを挟んで彼等と座る。

目の前にはドレッドヘアーの女性と左目を布で隠した男性。そしてその横で爆睡の子供。


「あんた…」


そしてきっと僕の事であろう仮名を呼びながらプルプルと肩を震わせる女性。


うおおおおお!!!!!
何だこれは!!こんな事初めてだぞ!!
ヘルプ!!シトラーーーー!!


「…」


寝たふりか?
寝たふりでこの場を何とかしようとしてるのか!?無理だから!無理だからね、シトラー!!!


「クロ〜。クロさ〜ん。助けて〜」


小声で床に座るクロに助けを求める。

すると、スクッと立ち上がり机に飛び乗る。
そして…。


「フッ」

何でキメ顔ーー!?
よくこの場でキメ顔しようと思ったな!?

彼等に向かってキメ顔するクロを胸に抱え、思いきって言葉を発する。


「あの〜」

「あんた…!」

「あの〜」

「あんたやるじゃないかーー!!!!」


ガバーーーーッと机越しに抱きついてくるドレッドヘアーの彼女。



うおお!!
突然どうしたんだ!!
やるじゃないかって何が!?


それより…、


「いっ息…が…」


その豊かなお胸が僕の呼吸を遮ってるよ!!
死ぬ。死んじゃうよ!!


「ぐるじぃ〜」


あれ?
何か川見えてきた。
看板に三途の川って書いてあるんだけど。

あっははは!!
ちょっと泳いでこようかな〜!!









夕焼け色から夕闇色へと変貌する世界の中で。









新たな物語の幕開けはもうすぐそこまで迫っているのでした。

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