【マギ】神出鬼没なマギ1.〜運命の逆流を正す者〜

第7夜 生きとし生けるもの ページ7

生きとし生けるものは必ず何かに躓き迷う。


どんなに位の高い王様や、
どんなに位の低い人間…。

それは変わらない。






まさに今、暗闇の中の一粒の光に迷っている
依り代…。


もし、
迷っているならば手を差しのばしてやる者…。
人の迷いを見て見ぬ振りをする者…。

はっきり言って、後者の方が楽だ。
だが、僕は人が迷っているならば手を差しのばしてやりたい。

見て見ぬ振りをするような、簿情な人間にはなりたくない。

そう、思うんだ…。









「彼が戦いで弱ってきた依り代を押し留めているんだ。誰かはわからないけどね…」

「…。僕にはわかるよ…。





あの中へ…
学長先生のルフに会いに行ってくる」



「アラジンくん。私も連れていって…！」

天才魔導師と呼ばれし者が懇願する…。

それに力強く頷くとアラジンが手を上げようとしたその時…。

「アラジン！ヤムライハさん！危ない！」

気づいたときには既に遅く一人の小柄な身体が依り代の手に当り宙を舞う…。

かろうじて天才魔導師ことヤムライハは近くにいたファナリスによって攻撃を免れたが、
こんな至近距離で二人も救うのは流石に苦だったようで…。





「アラジン！」

「アラジン殿！」

人々の叫びがこだまする中、アラジンの身体は
宙に弧を描きながら落下して行く。

助けたくても魔力が限界で全身魔装が出来ない
金属器使い共に、眷属器使い。




自国を無くした王は願う。


誰か…。



誰でもいい…。



誰でもいいから…。



アラジンを！！！









僕自身、凄い勢いで落下して行くのが分かる

なんとかしなきゃいけないけど僕の魔力も限界で…。

このまま地面に叩きつけられるのかな？








「あ〜あ…。
もっとアリババくんやモルさん達と旅とかしたかったのになぁ…。残念だな」


その呟きは誰にも聞かれる事はない…。

そう思っていたのだけれど…。







「へぇ〜。旅か！したいならこれから沢山すればいいさ！！仲間との旅より幸せを感じるものはないよね！！」



その声と共に落下する感覚が無くなり、
代わりに優しい腕に包まれているのが分かる。



「!?お姉さんは一体何者だい？」

アラジンを横抱きにする一人の少女…
突然の事態に戸惑うアラジン。
それは皆も一緒だったようで…

「え？僕のこと？

僕はね…。







運命の逆流を正す者だよ？」









青い炎に包まれて、
一人の少女が戦地へと降り立った…。

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