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「元々得意だったクロス打ちをブロックに止められまくってさ。クソ悔しくてストレートの練習しまくった。」




木兎さんの言葉に、中学でやっていたバスケを思い出す。




「んで、次の大会で同じブロック相手に全く触らせずストレート打ち抜いたった。その一本で、「俺の時代キタ!」くらいの気分だったね!!」




そう話す木兎さんは楽しそうで。


なんだか、その時の情景が目に浮かぶようだった。




「その瞬間が、あるか、ないか。ひとまず先のことなんてどーでもいい。目の前のやつぶっ潰すことと、自分の力が120%発揮されたときの快感が全て」




力強く、ハッキリと言い切った木兎さん。




木兎さんって…




こんなにかっこいい人なんだ。





「まあ、それはあくまで俺の話だけどな。ただ、もしもその瞬間が来たら____それがお前がバレーにハマる瞬間だ。」




蛍の表情が、どこかほんの少しだけ、
本当に少しだけ晴れたように見えた。




例えば私が今の話を、既に木兎さんから聞いていたとして。


私が蛍に同じことを言っても、蛍はこんな顔しなかっただろう。


木兎さんが言った言葉だからこそ
蛍に刺さったんだ。




私も、バスケをやっていて同じような場面はあったけど
そもそも心から楽しもうという気がなかった。

本気になるつもりがなかった。



けど、私も父に言われたから、とか
そんな細かいこともなにも考えずに純粋に
目の前の試合に向き合っていたら…


ハマる瞬間、というものがあったのかな。




「はいっ!じゃ〜質問答えたからブロック飛んでねー」

「急いで急いで〜」

「まずは意識しろ、」




黒尾さんが腕を上げ、蛍にブロックの動きを見せる。




「指の先まで力込めろ。絶対にフッ飛ばされない様に。んで手は上じゃなく前に出せ、前にだ。」

「はい。」




黒尾さんのアドバイスを素直に聞く蛍。

なんだか、兄弟みたいだ。




いいなぁ、こういう先輩たちが近くにいるって。



自分の中学時代にはなかった光景に、
羨ましさと同時に、自分が今この場にいれる嬉しさで
そんな様子を私は眺めていた。

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ソンア(プロフ) - あかりさん» またまたコメントありがとうございます…!お仕事、お疲れ様です。私も仕事で疲れた身体を癒すように妄想してます(笑) (9月13日 17時) (レス) id: 0dc28b449b (このIDを非表示/違反報告)
あかり(プロフ) - 仕事終わりの疲れた体に沁みます…(何が)更新ありがとうございます… (9月10日 20時) (レス) @page35 id: 54862b6f0b (このIDを非表示/違反報告)
ソンア(プロフ) - あかりさん» コメントありがとうございます!私ももともと月島推しでした…アニメ化されてクロ推しになりました(笑)ツッキー推しはクロ推しになる宿命…?(笑) 頑張ります!!ありがとうございます!! (8月1日 12時) (レス) id: 0dc28b449b (このIDを非表示/違反報告)
あかり(プロフ) - もともと月島推しなのに映画を見てクロも気になって小説読んでクロ気になってら私がいます…クロいけえ!!!!!!!!!(更新ありがとうございます、そわそわして待ってます) (7月31日 18時) (レス) @page7 id: 54862b6f0b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ソンア | 作成日時:2024年7月24日 19時

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