第五訓 ページ6
「Aゥゥゥ‼大丈夫か⁉お兄ちゃんだよ‼」
両手におそらくバーゲンダッシュが入っているだろう袋をぶら下げながら襖を豪快に開け勲君が入ってきた。後ろには呆れ顔のトシ兄付きだ。
『うるさい』
「ご、ごめんよォ…でもこんな慣れない土地で家出其れも一週間も…心配するだろう?何があったんだ?」
『話すと長くなるから体調が良くなったら皆の前で話す。その時は隊士集めれるだけ集めてね』
「わ、わかった」
トシ兄は何となく察しがついてるみたいだけどこのゴリラは皆目見当もついていないらし。
こうゆう奴らばっかりだから…まぁ、ここでぐちぐち思ってても仕方ない。ここは気持ちを入れ替えてアイスを食べよう。
『勲君。アイス』
「あぁ!ほら!バニラに苺にチョコレートもあるぞ‼」
『クッキーアンドクリームは?』
「あ」
『バーゲンダッシュはクッキーアンドクリームじゃろがいィィィ‼』
*
夜になり怠さは消えないがさっきまで普通に叫んでたりしていたし何の問題もなく屯所内のほぼ全隊士の前に座る。隊士達は局長にいきなり呼び出されたと思ったら新人女中がデコに冷えピタ貼って自分達を睨みつけていることに疑問を抱いていた。
「皆、急に呼び出して悪いな。殆どの奴は知ってると思うが新人女中で俺の妹のAだ。一週間前に家出して今日戻って来てな、家出の理由を皆に聞いてほしいらしいんだ」
局長の妹だから大人しくしているが仕事や稽古で疲れている他に私のせいで家事も自分でしなくなったから疲労も倍増しているのにその元凶とも言える奴が貴重な自由時間を潰してきたんだから内心は凄く文句でいっぱいだろう。ざまぁみやがれ。
『皆さんの貴重なお時間いただき感謝します』
「おい、そこ。デレデレしてんじゃねーぞ」
男所帯。そりゃぁ私みたいな美少女が微笑めば多少の怒りなんてどこかに吹っ飛ぶよね。
仕方ない。でもね、今はそんな事でデレデレされてたら話が進まないんだよクソ野郎。
『今日は皆さんに言いたい事言うために集まっていただきました。少し話が長くなるので先に結論から言わせてもらいます。女中はお前らの召使いじゃねーんだよクソ野郎共。調子乗ってんじゃねーぞ?』
4人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作成日時:2020年8月25日 16時