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初めまして ページ46

リクエストより

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「なぁん」


 足元で小さく鳴き声が聞こえて視線を下げると、小さな猫が佇んでいた。そこをあけろと言うようにローの隣に視線を動かし、再び見上げてくる。

 随分生意気な猫だと思いながら少し横にズレると、満足そうに小さく鳴いてからローの隣にできたスペースにちょこんと収まった。

 どこに隠れていたのかはわからないが、この猫もシーザーの実験体なのだろうか。しかし目立った外傷なども見当たらず、ローは小さく首を傾げた。

 構わずサンジのつくったスープを食べていると、構えというように前足でローの太ももあたりを叩く猫。大人しくしていろと耳の後ろを撫でてやると、ごろごろと大袈裟に喉が鳴る。


「Aも食えよ」

「おい、黒足屋。それをこの猫に食わせる気か」


 やって来たサンジが猫に差し出したスープは、自身が持っているものと同じように見える。明らかに猫が食べては毒になるような具材も入っており、不信感から睨みつけるとくつくつと笑われた。


「心配ねェよ。な?」

「うん! サンジ、ありがとう。トラオも、心配ありがとう」

「……は?」


 突然横から聞こえてきた少女の声に首を動かすと、先程猫がいたはずの場所に一人の少女が座っていた。サンジに手渡されたスープの入った容器を大事に抱え、ローの顔を見つめている。


「悪魔の実だよ。ねこにも、人にもなれるの。モモノスケと、ちょっと似てる、よね」


 そう言うと少女は軽く頭を左右に振った。すると少女の頭上には先程の猫と同じ毛並み毛色の猫の耳のようなものが現れる。
 ベポのようなミンク族とは違い、猫の耳としっぽが生えていること以外は人の姿となんのかわりもない。麦わらの一味に悪魔の実の能力者がもう一人、どころか猫がいたことすら知らなかったローは驚きを隠せない。

 唖然と見つめていたのが悪かったのか、目の前の少女の顔にだんだんと不安の色が滲んでいく。


「き、気味、悪かった?」


 ぺしゃりと力なく垂れた耳と声色に、口ごもる。ルフィと言いこの少女と言い、麦わらの一味のクルーに先程から調子を狂わされていてどうも本調子が出ない。普段だったら軽くあしらってやるところだが、どうもこの視線にはそう適当なことを言うのは気が引けてしまう。


「そこまで言ってねェ。それに、うちにも熊がいる」

「! くま!」

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p(プロフ) - あさん» 書いてくださりありがとうございます!!!!私の支離滅裂な展開をこんな可愛らしいお話に仕上げてくださって本当に嬉しいです〜〜!お忙しい中ありがとうございます! (2022年10月26日 15時) (レス) id: 223237ad78 (このIDを非表示/違反報告)
不死川(プロフ) - あさん» さいっこうですうううあ!!!!ほんとにさすがですとしか言えないくらい最高です!!ローの愛を表に出さないけど可愛がってるのが伝わってきて大満足です!ありがとうございます!😍✨ (2022年10月24日 22時) (レス) id: 53c93e683f (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 不死川さん» ありがとうございます!こんな感じになりました〜〜どうでしょうか! (2022年10月24日 21時) (レス) id: c0da8dc606 (このIDを非表示/違反報告)
のの(プロフ) - すごくアバウトなリクエストだったのに素敵なお話ありがとうございます😭癒されました!!! (2022年10月24日 1時) (レス) @page45 id: 65159ab740 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ののさん» ありがとうございます〜!こんな感じになりました、どうでしょうか……! (2022年10月23日 18時) (レス) @page45 id: db5a2b7bb8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2022年9月7日 8時

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