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「でも毛の色は一緒だぞ!」
ゾロに隠れていたチョッパーはひょこひょことAの元まで来てにっこりと笑う。顔をあげると他のみんなも同じように笑っていて、Aは唖然とした。Aがずっと悩んでいたことは、無意味で些細で、少しも悩む必要のないことだったのだ。
Aの目からぼとりと一粒涙が落ちる。続けて二粒目、三粒目、と次から次へ堰を切ったように涙がこぼれた。
「っもっと、はや、く……い、言えば、よかったァ」
そう言ってぼろぼろと涙を流すAを、ほんとだよ、とウソップが軽くチョップする。ルフィの肩に顔をこすって涙を拭うと、ぬっとルフィから腕が生えて顔をそっと掴まれる。そして涙を拭うように目元を優しく触られた。
「擦ると明日腫れるわ。もう遅いし、部屋で冷やしましょ」
「っうん、ありが、あぇ?」
手を差し伸べてくれたロビンの手を取って立ち上がろうとしても、ルフィがしがみついてそれはかなわなかった。離すよう催促すると、顔を上げたルフィは不思議そうに首を傾げる。
「なんで? おれたちの部屋で寝んだろ?」
「えっ、なんで? ナミとロビンと寝るよ。いつもそうだよ」
「猫んときはだろ。それにまだAと話してェ! なァいいだろ〜!」
「でももうAねむいよ……」
駄々をこねるように抱きついてじたばたとするルフィと、眠たそうにゆっくりと瞬きをするA。まるで子供のときと変わらない会話に懐かしいようなくすぐったい気持ちになりつつも、安堵と一度泣いたせいもあり睡魔は容赦なく襲ってくる。
さすがにしつこいルフィをナミとサンジが引き剥がすようにルフィの首根っこを掴み、ゾロは大きく欠伸をした。
「Aが可哀想でしょ! いい加減離しなさいよ」
「そうだぞ羨ましい!」
「絶対ェ離さねェ!」
「しつけェ」
ぐわんぐわんと揺れる身体に目を回していると、痺れを切らしたゾロがごつんとルフィの頭に拳をぶつけた。なにすんだと騒ぐルフィを前に睡魔はもう限界で、Aはこつんと額を合わせた。
「ルフィはなしていいよ、わたしはナミたちとねるよ、おやすみ」
「あ! おいA〜……」
そう言うと猫の姿になり、するりとルフィの腕をすり抜ける。Aの身体を痛いくらい抱きしめていた腕は空を切った。Aはゆらゆらとゆっくり歩き、ロビンの足元で丸くなる。
「なあーん」
ロビンに持ち上げられると小さく鳴いて、Aは呑気に眠りだした。
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p(プロフ) - あさん» 書いてくださりありがとうございます!!!!私の支離滅裂な展開をこんな可愛らしいお話に仕上げてくださって本当に嬉しいです〜〜!お忙しい中ありがとうございます! (2022年10月26日 15時) (レス) id: 223237ad78 (このIDを非表示/違反報告)
不死川(プロフ) - あさん» さいっこうですうううあ!!!!ほんとにさすがですとしか言えないくらい最高です!!ローの愛を表に出さないけど可愛がってるのが伝わってきて大満足です!ありがとうございます!😍✨ (2022年10月24日 22時) (レス) id: 53c93e683f (このIDを非表示/違反報告)
あ(プロフ) - 不死川さん» ありがとうございます!こんな感じになりました〜〜どうでしょうか! (2022年10月24日 21時) (レス) id: c0da8dc606 (このIDを非表示/違反報告)
のの(プロフ) - すごくアバウトなリクエストだったのに素敵なお話ありがとうございます😭癒されました!!! (2022年10月24日 1時) (レス) @page45 id: 65159ab740 (このIDを非表示/違反報告)
あ(プロフ) - ののさん» ありがとうございます〜!こんな感じになりました、どうでしょうか……! (2022年10月23日 18時) (レス) @page45 id: db5a2b7bb8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あ | 作成日時:2022年9月7日 8時