鳥籠の中の愛しい乙女【青】 ページ36
※ヤンデレ注意
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足が重たい、呼吸もままならない。何処へ向かっているのかすら頭に無く、ただ"あの家"から出来るだけ遠くへという思いだけが原動力だった。身体は悲鳴を上げているけれど、ここで足を止めてしまえば終わりだと思った。
「はぁ……っ、けほ、」
目的地の駅の近くの路地で一度呼吸を整える。流石にここまでは追いつけないだろうという思いと、もうすぐ駅だという安堵からわたしは少しだけ緊張感を解いた。
その時。
「つーかまえた。Aちゃん意外と足速いね」
「……っ!?」
背後から気配もなくするりと手が伸びてきて、ぎゅっと身体を抱き締められ拘束される。振り返らなくても声で分かる。私は恐怖で声も出なかった。
「な、んで……きんときさ、」
ゆっくりと振り返ると同時にようやく絞り出したか細い声はしっかりと彼に届いていたようで、首を傾げる様子が目に入った。
「なんで?って、Aちゃんが家出るから。急に飛び出すからびっくりしたんだけど」
そう言って何でもないように、まるで恋人にするようにわたしの手を握って「帰ろう」と笑った。
「やっ、わたしは……」
「まだ帰りたくない?じゃあ外食でもする?」
「ちが……!だって、」
「なら夜ご飯作ったから一緒に食べようよ。ほら、帰ろう」
怖い。
普通じゃないのに、まるで何事もないように振る舞う彼が怖い。身体は硬直してしまって、全く動いてくれなかった。その様子を見たきんときさんは苦笑いを浮かべる。
「んー、まさかあの部屋見られるとはなぁ。秘密の部屋だったんだけど」
仕事が休みだった私は、丁度休みの被ったきんときさんに誘われて彼の家へと招かれた。密かに彼に想いを寄せていた私がその誘いに乗らないはずもなく。お言葉に甘えてきんときさんの家へと上がらせてもらった。
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ぽんこつらーめん(プロフ) - あいりすさん» コメントありがとうございます。励みになります。 (2023年4月16日 20時) (レス) id: 458486b0e2 (このIDを非表示/違反報告)
あいりす(プロフ) - 最近とても更新してくれて嬉しいです!これからも頑張ってください!! (2023年4月14日 6時) (レス) id: 06d1bec9da (このIDを非表示/違反報告)
ぽんこつらーめん(プロフ) - あいりすさん» こちらが明記してなかったのですみません…。そのつもりでした。ただマフィアパロはいつか書きたいなとは思っていますのでもし時間ができれば頑張りますね。コメントありがとうございました。 (2023年2月18日 22時) (レス) id: 458486b0e2 (このIDを非表示/違反報告)
あいりす(プロフ) - ぽんこつらーめんさん» 何処かにかいていましたか!?そしたら申し訳無いです…。 (2023年2月18日 16時) (レス) id: 255513ac99 (このIDを非表示/違反報告)
ぽんこつらーめん(プロフ) - あいりすさん» コメントありがとうございます。折角リクエスト頂いた所申し訳無いのですが一旦リクエストは1人1回までとさせて頂いております。申し訳ございません🙇 (2023年2月18日 15時) (レス) id: 458486b0e2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぽんこつらーめん | 作成日時:2022年12月31日 20時