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路地裏にて、一度目の死 ページ4

男──ヴェルレエヌは、上半身と下半身とで真っ二つに分かれた少女の死体を眺めた。
 地面には、先程まで生きていた筈の少女の血溜まりがジワジワと広まっていた。その血溜まりが自分の靴に届くよりも前に、ヴェルレエヌは一歩後ろへと下がる。
 其れでも彼は踵を返そうとはせずに、未だに少女の死体を眺めていた。

 少々意外だったのだ。
 ポートマフィアに属する中也が、其れを知っている『一般人』の人間と友人とも言える様な親しい関係を築いている事が。
 
 ヴェルレエヌは暗殺者の礼儀として少女のことを調べていたが、経歴から、何から何までが普通──至って平凡なものだった。
 元々は孤児院にいたにせよ。マフィアの人間と関わっていたにせよ。義姉を『誰か』に殺されたにせよ。

 今、先程まで息をしていた少女は、間違いなく平凡な人生を歩んでいた一般人だった。



 やがてヴェルレエヌは満足したのか、白樺の枝で出来た十字架をその場に置いた。
 少々荒く彫られたそれは、少女の使った血溜まりに音を立てて落ちる。そしてじんわりと血の赤に染まっていく。

 それを数秒間眺めていたヴェルレエヌは踵を返して歩き出す。
 
 ──いや、歩き出そうとした。



 ビチャ、と云う音と、何かを引きずる様な音を聞き、ヴェルレエヌは足を止めた。
 いや、そんな。真逆、な。

 ゆっくりと振り向いた彼の目には、血に塗れながらも五体満足に立ち上がり、薄い笑みを浮かべてこちらを見ている少女が映ったのだ。

 「……はは、成程。君は『一般人』とは程遠い」



 「蘇生の異能持ちか? 暗殺者の俺とは相性が悪すぎるな」
 ヴェルレエヌからの言葉に、Aは何も云わずにいる。
 いっそ不気味な程に静かな笑みを、その顔に浮かべたままだ。
「何か云ったら如何だ?」

 私、殺されたのか。相手の言葉を理解するよりも疾くに。凄いや、随分と手慣れてる。いや、先刻のはそんな言葉で片付けていいレベルじゃないな。
 Aは数秒経っても何も云おうとしなかったが、心の中では饒舌に心情を語っていた。
 もはや突然の出来事に笑うしかなかった。
 そして次に『何故、私は殺されたんだ?』と云う疑問と恐怖、怒りや戸惑いなど、様々な感情がごちゃ混ぜになって、ストンと顔から一切の表情が消えた。

 ヴェルレエヌも、先程Aと話していた時の様な笑みを浮かべてはいなかった。
 
 そして、最早彼女を『一般人』だとも思っていなかった。

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黒猫 - pixivの方でコメントできないのでこちらでさせていただきます。相変わらず面白かったです!他の小説も読ませていただきました。ポケモンの「顔面600族は見慣れてるから」で「スゲェ」ってなりました。私は何回見ても慣れる気がしません…。次の更新、楽しみにしてます! (9月3日 16時) (レス) id: 4dfbfc9ed5 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 息抜きさん» 返信ありがとうございます!読みづらいことは無いです!普段pixivで読んでいるので、名前変更は出来ても出来なくてもそんな気にしてないので!ただ仕様なのかどうなのか気になっただけです!返信ありがとうございました!これからも楽しみにしています! (6月4日 18時) (レス) @page16 id: 199d1c4ec1 (このIDを非表示/違反報告)
息抜き(プロフ) - 霧さん» コメントありがとうございます! くるっぷには占いツクールの様に、名前表記を変更する事が出来ないんです😭 読みづらくて本当に申し訳ないです…… (6月3日 22時) (レス) id: aff75be4a1 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - コメント失礼します!いつもワクワクしながらこの小説を読ませていただいております!主にpixivで読んでいるのですが、くるっぷというサイトでも小説読みました!質問なんですが、あの(名前)は変更できるのでしょうか?それともそういう仕様なのでしょうか? (6月2日 22時) (レス) @page17 id: 199d1c4ec1 (このIDを非表示/違反報告)
息抜き(プロフ) - ほしくずさん» お待たせして申し訳ありません。昨晩から色々と方法を試してみたのですが、いまいち進展がなかったので、くるっぷというサイトも使用してみる事にしました。わざわざアプリを入れる手間をかけて頂いたのに、解決策を見つけられず申し訳ないです……。 (5月25日 13時) (レス) id: aff75be4a1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:息抜き | 作成日時:2022年12月28日 22時

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