Episode7 -6 ページ46
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……って違う、そうじゃなくて。
二十三なら二年前は二十一、だいたい“二十歳くらい”で間違ってはない…よね？
「おばあさんに、キャンディで記憶を消せるかどうか……聞きました？」
「はい」
「！」
ごくりと、緊張でつばを飲み込む。
もう間違いない。
おばあさんが言ってた前回迷い込んできた人って、相葉さんなんだ…。
早鐘のようになる心臓を抑えながら、私はその質問を口にした。
本当は少し悩んだけど。
どうしても聞かずにはいられなかった。
「そのキャンディ……使い、ました？」
「はい」
「！………記憶を、消したんですか……？」
「よくご存じですね。はい、消しました」
あくまで穏やかな笑顔を崩さないまま、相葉さんは頷く。
その様子が少し怖くも見えて、体は温かいはずなのに背筋に冷たいものが走る。
「………だれの？」
つい口に出してから、私はあわてて両手で口をふさいだ。
「すみません、今のは忘れてください」
その人にとってどうしても魔法が必要な場面なんて聞くべきじゃない。
そう思うのに、一度口から出た言葉は取り消せない。
恐る恐る相葉さんの目を覗き込んだけど、怒っている様子は見られなかった。
むしろ、どこか遠くを見るような目になって……あれ？
「瀬那さん、どうしました？」
「いえ……なんで、も……」
ぐらりと、視界が揺れた。
相葉さんの顔が次第にぼやけていく。
瞼が重力に従うように落ちていく。
「…………ねむ、く……」
カウンターに腕をつく。
おかしいな…ブランデーエッグノッグ一杯しか飲んでないのに……。
世界が闇に包まれていく。
意識を手放す直前に、どこか悲しそうな相葉さんの声が耳に届いた。
「とても大切な……幼馴染のだよ」
その言葉の意味を理解するより前に、私の思考はぷつりと切れてしまったのだった。
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作者名：iCHiKA
| 作成日時：2020年1月24日 21時
