Episode4 -4 ページ23
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意気込んで一歩を踏み出しかけて、私はそのまま固まった。
いつの間にやらまったく見覚えのない路地に迷い込んでしまっていたからだった。
え、ここどこ？
ぽつりぽつりと、ところどころに街灯らしい明かりが見えていて、その向こうにランタンがぶら下がった看板が見えるけれど、それ以外の光源は空に輝く月しかない。
まさかこの歳になって迷った？
駅から家までの道で？
「いやいやそんなまさか」
いくら忘れっぽい私でも駅から家までの道を忘れたりしない。
はず。
とりあえず現在地を調べようとスマホを取り出すと、なぜかうんともすんとも言わなくなっていた。
「うそ！？」
ホームボタンをいくら連打しても電源ボタンをどれだけ長押ししても、スマホが反応しない。
充電切れかと思って持ち歩いているバッテリーで充電を試みたけどそれもダメだった(バッテリーの充電は足りてた)。
困り果てたまま前を見ても後ろを見ても人どころか猫の一匹すら通りそうな気配がない。
しばらく考えた末に、仕方なく私はランタンを目指して歩き出した。
あそこにお店があるならそこで道を聞いてみようと思ったから。
近づいていくとそのお店の窓からはオレンジ色の明かりが漏れていた。
中を覗き込むと雑貨屋さんか何かのようでざっくばらんにものが並んでいる。
ここに入るのはなかなか勇気がいるけれど…。
こうしていても帰り道がわからない。
意を決して私はお店の扉を開いた。
重そうな古い木の扉に張り付けられた看板には「stray sheep」と書かれていた。
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作者名：iCHiKA
| 作成日時：2020年1月24日 21時
