Episode3 -3 ページ16
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こんな夢を見たときは彼らに会いたくなるって前にも言ったけど、残念ながら今日は行くことができなかった。
久しぶりに出した喪服に袖を通してやってきたとあるお寺。
この間のお彼岸にも来たばかりだからそんなに久しぶりって感じはしないけど、親族に会うのは祖父のお葬式以来だった。
祖父が他界したのはもう十年以上前のことで、当時のことをまだ一桁だった私は全然覚えていない。
さみしくて泣きじゃくったことは覚えてるけど、頻繁に会っていたわけではない祖父との思い出はほとんど残っていないのが現状だった。
普段は祖父の法事には出席していなかったんだけど最近懐かしい夢を見るせいか無性に身内に会いたくなった。
祖父のことすらあまり覚えていないので当然集まった親戚は知らない人ばかりだったんだけど、その中の一人が私に声をかけてきた。
「あれ、もしかしてAちゃんじゃない？」
「え？……はい、そうですけど」
「やっぱり。俺だよ、益子悟。覚えてる？」
「益子悟さん……？」
「そう。いとこだよ、君の。昔ほら何度か遊んだことあるでしょ、近所の公園とかで」
「……ああ！」
「思い出した？」
「うん。思い出した」
親戚の悟くんだ。
夏休みの間に何度か祖父の家に言った時に遊んだ覚えがある。
日焼けした健康的な肌と優しい笑顔。
記憶の中にいる幼い彼とその笑顔が重なって、私は思わず笑みを漏らした。
そういえばどことなく大野さんに雰囲気が似ている。
「すっごく久しぶり！」
「うん、久しぶり。大きくなったね」
「お互い様だよ。悟くんイケメンに育ったね」
「お、まじ？まぁ祖父さんの葬式以来だもんな」
言いながら悟くんは自分の分のお茶をもって部屋の隅にいた私の横に移動してきてくれた。
昔より伸びた身長に男の人なんだなぁとちょっと照れくさい。
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作者名：iCHiKA
| 作成日時：2020年1月24日 21時
