Episode1 いつかの初恋 ページ2
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初恋はいつだった？
なんて、ガールズトーク定番の話題に、私はあいまいな笑顔でいつだったかなぁなんて返していた。
場所は以前後輩の松本くんに連れられてやってきてからよく利用するようになったバー「KIWI」のカウンター席。
隣に座ってるのは今日は松本くんじゃなくて友人の多江ちゃんだ。
「別に隠さなくたっていいじゃない」
「なら隠してもいいでしょ」
「子供のころの話でしょ？」
「そうだけど……そうだ、相葉さんはいつでした？初恋」
「え！俺に振ります？」
「相葉さんの初恋あたしも聞きたーい」
多江ちゃんの興味がカウンターの向こうにいるバーテンダーの相葉さんに移って内心ホッと胸をなでおろす。
恋バナは嫌いじゃないけど、初恋の話はなるべく避けたいんだよね。
私にだって初恋くらいはもちろんある。
ある…はずなのだけど。
小さい頃のことを思い出そうとするといつもふわあともやがかかってしまってうまく思い出すことができない。
そのときの子供ながらに大切にしていた恋の温かさだけを思い出して、なぜだか無性に泣きたくなってしまう。
これまたどうしてだかは思えてないけど人前で泣くのは昔から苦手で、涙が出そうになるからこの話題はあんまりしたくない。
お酒の入った多江ちゃんにぐいぐい迫られてる相葉さんは困ったような顔をして私を見ていた。
ごめんなさい、相葉さん。
「ただいま」
「あ、お帰り翔ちゃん！」
カラーンと扉の開く音がして相葉さんがこれ幸いと多江ちゃんから逃げ出す。
店の中に入ってきたのはこのお店でバーテンダーとして働いている櫻井翔くんだった。
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Episode1 -2→←Prologue of stray sheep
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作者名：iCHiKA
| 作成日時：2020年1月24日 21時
