Prologue of stray sheep ページ1
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おや、これは珍しいお客さんだね。坊や、道に迷ったのかい。
ここかい？ここはね、坊やみたいにどうしても魔法の力を必要とする人間だけがたどり着く場所さ。
そう、魔法。
自分にも魔法が使えるのかって…？
あはは、こりゃまた珍しい。坊や、魔法を信じるのかい？
……そうか、ワクワクするか…。
はは、あたしはあんたが気に入ったよ。どれ、こっちにおいで。
珍しいものがいろいろあるだろう。でも、坊やにあげるのはこれさ。
見ての通りキャンディさ。
ただのキャンディじゃあないよ。
何でも願いをかなえてくれる魔法のキャンディだ。ねがいごとキャンディって言うのさ。
ああ、何でも叶えてくれる。
ただし、生者を殺すことと、死者をよみがえらせることはできないよ。
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あはは、そうだね、あたしには関係ないさ。
坊やは強い目をしているね…いや、覚悟を決めた目をしている。
何をしようとしてるんだい。
……助けたい人？そうかい。坊やがここにたどり着いた理由がよくわかるよ。
おやもう行くのかい？お茶でも出そうと思ったんだが……そうか、早く助けたいんだね。
お礼ならあたしじゃなくて、ここにたどり着かせた自分の意思に言うんだね。
坊や……あんた自身は後悔しないのかい？
そうかい。それだけ覚悟が決まってるならだれも文句は言わないさ。
あぁ、さよなら。
坊や、あんたもちゃんと幸せにおなりよ。
……ありゃあ、誰かのために自分の幸せを捨てるタイプだねぇ。
これはね、願いをかなえるキャンディをめぐる、ちいさなちいさな、恋のものがたりさ。
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作者名：iCHiKA
| 作成日時：2020年1月24日 21時
