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Episode15 -3 ページ13

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「ねぇ覚えてる?翔がここでもう家族には戻らないって言ってくれた時のこと」

「覚えてない」

「ふふふ、照れなくていいのに」



あの瞬間まできっと、翔は私にとって家族だった。

翔があの一言を告げてくれていなければ、私たちは家族のまま、けれど誰よりも互いが大切なまま大人になって。

互いより大切なだれかなんて見つけられずにいつまでも一人だったかもしれない。

その感情の名前すら知らない子供のまま。



「私ね、すっごく嬉しかった。この場所も、この街も、なんでもなかった全部が翔が恋人になったってだけで素敵で大切な場所になった。だからこの場所に翔がいてくれたことが、今はとても嬉しいの」



翔にとってもここが何かある時には思い浮かぶ場所ならばそれは喜ぶべきことで。

この場所で巡り合えた私たちは一緒にいたって誰にも文句は言われないんじゃないかと、思うのだ。

これを誰かが運命だとでも浮かれた名称で呼ぶのなら。

今の私はそれを否定するだろう。

これはきっと、必然であって、運命ではないのだと。



「……はぁ、ほんと、自分でもどうしようもないな」



自虐するみたいに翔は大きくため息をつく。

それは打ち付ける波すらはじき返してしまいそうなほどの、深い深いものだった。



「ここしか思いつかなかったんだよ。というか……ここに来たくなったんだ」



翔の大きな目は伏し目がちに海と夜空の境目をなぞっている。

遠くに見える海岸線の明かりは今もそこに誰かの日々があることを示しているだろうか。



「……俺にはずっと、お前しかいなかった。だからお前を失くした後そうしていいかわかんなくて、そでれも俺を見捨てずにいてくれた雅紀と智くんには感謝してるんだ。雅紀なんて、俺のためなら何でもしてくれるって言ってくれて。俺はその気持ちをだいぶ利用しちゃったけど」



後悔してるのか、そうではないのか。

声色からは分からなかった。



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iCHiKA(プロフ) - 櫻宮さん» コメントありがとうございます。切なさと温かさの両立は目指したところでございますのでそう言っていただけて嬉しいです!最後まで彼らの物語をお読みいただきありがとうございました。 (6月30日 20時) (レス) id: ca4476f6fd (このIDを非表示/違反報告)
櫻宮 - 翔は主人公ちゃんを思って記憶を消そうとした。でもそれを主人公ちゃんが許さなかった。切なくてとても温かいお話でした。凄く感動しました!! (6月29日 16時) (レス) id: 95d5f07b44 (このIDを非表示/違反報告)
iCHiKA(プロフ) - ともさん» とも様、いつもありがとうございます。切なさと隣り合わせに温もりを失くさないことを目指して書いておりましたのでそう言っていただけて大変光栄です。最後までお読みいただきありがとうございました。 (4月15日 23時) (レス) id: ca4476f6fd (このIDを非表示/違反報告)
とも(プロフ) - 完結…お疲れ様でした。ファンタジーな世界で切ない中にも心が温まるお話でした。夢中で拝読させて頂きました。 (4月14日 18時) (レス) id: bd0ebe94fc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:iCHiKA | 作成日時:2020年3月23日 14時

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