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Episode15 Stand by Me ページ11

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夕刻。

降り続く雨は街を染めるはずのオレンジ色さえもかき消してしまう。

相葉さんは「俺店に行くよ。もしかしたら翔ちゃんが来るかもしれないし」と言い残してKIWIへと向かってしまった。

一日中当てもなく捜し歩いたけれど当然翔は見つかるはずもなくて。

ただ雨に濡れた服だけがぐっしょりと翔のいなくなってからの時間を示している。

傘に当たり続ける雨の音は外の世界ごとシャットアウトしてしまうようで妙に感覚が澄んでいるような気になってくる。

相葉さんと別れて一人になった私は、そんな意味もない勘というものに動かされて海を目指した。

街なんてものはそう簡単には変わりはしない。

けれどきっと思い出と寸分たがわずそこにあり続ける景色なんてものは存在しないんだろう。

そんな中にあって一人やってきた私と翔の暮らした街の堤防は変わらない姿でそこにそびえていた。

海が声をあげている。

堤防に打ち付ける波の音が小ぶりになった雨の中でもよく耳に届いた。

雨というのはたぶん気配を消すのに適しているんだと思う。

傘もささずに堤防に座り込んでいた彼は私の接近にようやく気が付いて顔を上げた。



「まって翔」

「……っ」



逃げようと浮かした腰を大人しく翔が下す。

あの頃より少し伸びた身長でそこに座る翔の姿は昔より幾分か大きく見えた。



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iCHiKA(プロフ) - 櫻宮さん» コメントありがとうございます。切なさと温かさの両立は目指したところでございますのでそう言っていただけて嬉しいです!最後まで彼らの物語をお読みいただきありがとうございました。 (6月30日 20時) (レス) id: ca4476f6fd (このIDを非表示/違反報告)
櫻宮 - 翔は主人公ちゃんを思って記憶を消そうとした。でもそれを主人公ちゃんが許さなかった。切なくてとても温かいお話でした。凄く感動しました!! (6月29日 16時) (レス) id: 95d5f07b44 (このIDを非表示/違反報告)
iCHiKA(プロフ) - ともさん» とも様、いつもありがとうございます。切なさと隣り合わせに温もりを失くさないことを目指して書いておりましたのでそう言っていただけて大変光栄です。最後までお読みいただきありがとうございました。 (4月15日 23時) (レス) id: ca4476f6fd (このIDを非表示/違反報告)
とも(プロフ) - 完結…お疲れ様でした。ファンタジーな世界で切ない中にも心が温まるお話でした。夢中で拝読させて頂きました。 (4月14日 18時) (レス) id: bd0ebe94fc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:iCHiKA | 作成日時:2020年3月23日 14時

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