Episode15 -2 ページ12
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意味なんてない。
理由もない。
ただそれは勘。
でなければ、運。
偶然。
たまたま。
呼び方は何でもいい。
なんなら運命、なんてものでもいいかもしれない。
一日探し回ってようやく見つけた翔は夜に溶け込むように海と街の境目に佇んでいた。
「やっと捕まえた」
「………捕まってないし」
すねたようにふいと顔を背ける翔の隣に腰を下ろす。
ようやく雨が上がりそうで、私は指していた傘をたたんだ。
風が強く吹いていて雨でぬれた服の裾をわずかになびかせる。
翔が好きだと言った、ワンピースの裾を。
膝丈はあるスカートを選ぶようになったのは翔の言葉のせいだとはきっと翔は知らない。
「やっと雨止んだね」
早く雲を押しのけて月が出てくれればいいのに。
そうすればやっと翔の顔をちゃんと見ることができるのに。
「よくここがわかったな」
「なんとなくね。翔、よく来てたから。私と喧嘩したときとか」
「……忘れた」
「ふふ」
子供のころは無邪気に結婚の約束なんかして。
それが人生において本来どれだけ大きな決断かだなんて想像もできない。
ただ絵本の中のお姫様と王子様にあこがれる子供のままで、私たちは指輪と冠なんてものを交換したりした。
ずうっと眠っていたあの花指輪の栞は翔が私に誓ってくれたそんな幼い愛のなれの果てなのだ。
現実から隔離されて残されていた幼い夢の残り香。
あの頃から私たちは果たしてどれほど変わっただろうか。
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iCHiKA(プロフ) - 櫻宮さん» コメントありがとうございます。切なさと温かさの両立は目指したところでございますのでそう言っていただけて嬉しいです！最後まで彼らの物語をお読みいただきありがとうございました。 (2020年6月30日 20時) (
レス) id: ca4476f6fd (このIDを非表示/違反報告)
櫻宮 - 翔は主人公ちゃんを思って記憶を消そうとした。でもそれを主人公ちゃんが許さなかった。切なくてとても温かいお話でした。凄く感動しました！！ (2020年6月29日 16時) (レス) id: 95d5f07b44 (このIDを非表示/違反報告)
iCHiKA(プロフ) - ともさん» とも様、いつもありがとうございます。切なさと隣り合わせに温もりを失くさないことを目指して書いておりましたのでそう言っていただけて大変光栄です。最後までお読みいただきありがとうございました。 (2020年4月15日 23時) (レス) id: ca4476f6fd (このIDを非表示/違反報告)
とも(プロフ) - 完結…お疲れ様でした。ファンタジーな世界で切ない中にも心が温まるお話でした。夢中で拝読させて頂きました。 (2020年4月14日 18時) (レス) id: bd0ebe94fc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：iCHiKA
| 作成日時：2020年3月23日 14時
