ちびれんくん8

▽ ページ30

紫耀side

それはご両親が優しくて温かい人たちだから。

廉もそんなご両親の背中を見て

自然とそう育ったんだと思う


「幼児化してからもそれは全然変わらなくて…」

岸「ほんと。何なら更に敏感に感じ取るようになって」

海「幼くて拙い言葉ながらに、俺らの事心配して、励まそうとしてくれて」

玄「だから…いつも、廉の苦しみに気づくのが遅くなってしまうんです。俺ら」


その言葉に全員次の言葉が出てこない。

いつだってそう。廉は俺らの異変や悩み事には

真っ先に気づいて声を掛けてくれる。

それは自分が、しんどかったり悩んでても。


自分の悩みや苦しみ、しんどさは

俺らに悟られないように、心の奥の奥に鍵をかけて仕舞いこんで。

自分の事のように俺らの悩みに向き合ってくれて

解決策を出してくれたり、手を差し伸べてくれて…


だから…

いつも俺らは気づくのが遅くなる。


廉の苦しみに＿＿＿。




＊






＊


廉母「でも、それでも廉は凄く恵まれとると思うわ」

「え…」

廉父「デビューしてから、更に忙しなって全然連絡よこさんくなったけど、たまぁに来たと思ったらずーっとメンバーさんの話しばっかでなぁ…笑」

海「れんが？」

廉父「そうやで。メンバーは凄いんやでって。俺の憧れの先輩やし、後輩も居るけど、ダンスが凄く上手で尊敬してるって」


廉がそんな事…


廉父「家族みたいに大事な人達やから、何か困ってたら助けてやりたいって。今まで自分が、してきてもらったように。メンバーさんに恩返ししたいってな」

「そんな、恩返し何て…」


幼児化してから、まったくそんな話をしてくれる事も無くなった。

まぁ元々そんな話を聞いたことも無かったけど

更になくなった気がした。廉の本音を聞く機会も＿＿。


廉母「あの子は、ホンマに皆さんに感謝してるんやと思います。勿論私らも」

岸「そんな…全然、俺らは…」


岸くんの言葉に、ふわりと微笑んで首を振ったお母さん。


廉母「普通に接してくれて、あの子幸せもんです」

廉父「これからも、沢山大変な事もあると思います。けど…なにとぞ廉を…お願いします」


その言葉に俺らも頭を下げた。


神「もちろんです、廉の事は全力で守ります」


その言葉に、ありがとうとお母さんは目に涙を浮かべていた。



＊






＊




それからこの日は皆で寝る事になった。


廉「んっ、み、んな？」

「あ、起きちゃったか」


俺も寝よう、そう思ったタイミングで廉が起きちゃった。

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