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ジャニが部屋を出てしばらく経ったあと、私も部屋を出た。
数時間前まであまり客がいなかったフロアには、異様な熱気と人々の雑踏が満ちている。
ジャニは変わらずバーカウンターに立って、女性客と談笑していた。…さっき、私を抱きしめ乱れていたなんて想像も出来ないほどの落ち着きっぷり。
人々はステージに向かって歓声をあげたり、中には喜びの悲鳴をあげながら目を覆う女性もいる。もしかして、ジャニの言っていたダンサーが来たのだろうか。
私はなんの気無しに、フロアへ歩いてステージへ目を向ける。
…この時、どうして彼を見つけてしまったのか
今でも少しだけ、後悔している。
しなやかに伸びた腕が、宙を駆ける。
目にも止まらぬ速さでターンし、
一つの美術品のようなシルエットでポーズを取る。
彼自身が止めた時が、彼自身からまた動き出す。
その刹那にこちらの全身が浴びる快楽は、言葉にできないほどの喜びを感じさせる。
観客を挑発するような眼差しも、
自分の魅力を完璧に理解して舞台を掌握する姿も、
彼、か 彼女か
よくわからない
ううん、性別なんて関係ない
強烈で鮮烈な、その唯一無二の魅力。
見たことのない景色に、心が雷を打たれたように苦しい。
舞台上から目が離せず、動悸がする。
音楽が鳴り止んでも、歓声は止むことを知らない。
彼はそれに応えるように、また観客を煽るように、とびきりいやらしく、とびきり無邪気な手つきで、上に着ていたシャツを脱いだ。
熱狂する群衆の反応を目に、楽しんでいる。
それはまるで高みの見物、猫のような気ままさと女王のような覇気を持つ。
だけど彼のタトゥーが入った裸身を見て、彼が男性であることがようやく分かった。
興奮した観客からのチップで、舞台はたちまち紙幣だらけになる。
狂ったように色々な国の紙幣が飛び交うその光景が、やたらと似合う。
踊りが凄かった、
だけどそれだけじゃない。
彼が支配したこの空間に呑まれた、
それがあまりにも衝撃的で、心地よかった。
自我を忘れるほど、誰かに魅了される。
意識を飛ばすほどの鮮烈な色、香り、形、熱。
私は奇跡的な芸術を、今ここで目にした。
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らーみょん - ログインしないでも見れるってありますか？ (2021年9月20日 23時) (
レス) id: bc990f52e8 (このIDを非表示/違反報告)
れいら(プロフ) - WayV沼子さん» コメントありがとうございます！他の作品も読んで頂いてるんですね…!!かなり毛色の違う作品ですがどちらも応援してくださって大号泣です（ ; ; ）ありがとうございます!! ルーカスはかなり主軸の登場人物となるので、今後もご期待ください(^^)♡ (2021年9月20日 19時) (レス) id: c38a85a6a7 (このIDを非表示/違反報告)
WayV沼子 - 表現力、設定、どれも素敵な小説だと思っていたら、大好きな作者さんだったなんて…！感激です。これからも応援しています。大好きなルーカス出してくださりありがとうございます(涙) (2021年9月18日 1時) (レス) id: 2887d301bf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：れいら
| 作成日時：2021年9月14日 23時
