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「ここまで来れば大丈夫…」
「はぁ、はぁ…」
「…ごめんね、すごい勢いで走っちゃった」
大通りに出ると、これまで無我夢中で走ってきたことへの反動が一気に体を襲う。
膝に手を当て呼吸を整えていると、路地裏から走ってきたなんだか訳ありげな私たちを、街ゆく人々は物珍しげに眺めた。
なんとか息を整えて体を起こす。
普段あれだけやってたら体力ついてるはずなのにな。
なんて呑気な私の頭の中は、
…彼の顔を改めて見上げた時、思いきり醒めた。
大きな瞳、その眼差しは、鋭利な刃物のような雰囲気を纏う。
左目の目尻には特徴的な痣の痕があった。
しっかり通った鼻筋、薄い唇
恐ろしいほどに整ったその顔立ち、独特の雰囲気には、どこか神秘的で、だけど悲壮感も漂っている。
ビルの明かりに照らされるその姿は、まるで現実のものじゃないみたい。
私は喉が渇いていることに今更気付いた。
彼は今になってようやくきちんと私を見ると、
…一瞬、瞳を大きく見開いて
またすぐに目を逸らしてしまった。
「…ありがとう、助けてくれて」
「…お礼を言われるまでのことは、してない。…それより、女の子が一人であんな場所歩いてたら、だめだよ」
「分かってる。でもあそこ、仕事帰りでいつも通る道なの」
「仕事帰り…？」
「うん。風俗」
「…そっか。…本当に危ないから、別の道通るようにしなよ」
私の職業を明かしても、表情ひとつ変えない彼。
彼が陽の当たらない世界で生きている、私の同類だと言うことは明らかだった。
そして彼は、ぶっきらぼうと言うよりも、どこか緊張しているのだろうか
無愛想に聞こえる声でぼそぼそ話す。
だけどその首はほんのり赤くなっていて、まっすぐ顔を見つめてみたら、雰囲気が異様なだけで顔立ち自体は愛らしいことに気付く。
私が思わず笑うと、彼もそんな私に気が付いたようだ。
少しムキになった表情は、それまでの強張った表情よりずっと魅力的だった。
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らーみょん - ログインしないでも見れるってありますか？ (2021年9月20日 23時) (
レス) id: bc990f52e8 (このIDを非表示/違反報告)
れいら(プロフ) - WayV沼子さん» コメントありがとうございます！他の作品も読んで頂いてるんですね…!!かなり毛色の違う作品ですがどちらも応援してくださって大号泣です（ ; ; ）ありがとうございます!! ルーカスはかなり主軸の登場人物となるので、今後もご期待ください(^^)♡ (2021年9月20日 19時) (レス) id: c38a85a6a7 (このIDを非表示/違反報告)
WayV沼子 - 表現力、設定、どれも素敵な小説だと思っていたら、大好きな作者さんだったなんて…！感激です。これからも応援しています。大好きなルーカス出してくださりありがとうございます(涙) (2021年9月18日 1時) (レス) id: 2887d301bf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：れいら
| 作成日時：2021年9月14日 23時
