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エレベーターに乗り込むと、ユウタくんは突然私を抱きしめた。
壁際に私を追い詰め、
…さっきまでのふにゃふにゃした笑顔はどこへ行ってしまったのか。
二人きりになれる空間を待ちわびていたのか、
私の顎に指を当てて私を見つめる瞳は、獰猛な色気を秘めている。
エレベーターの稼働音だけが響く、妙な沈黙。
その大きな漆黒の瞳から目が離せないでいると、情熱的な口づけが降ってきた。
私の口内を蹂躙する舌に、キスだけで脳がびりびり痺れる。
思わずその胸に手を当てると、がっしりした胸板が余計に私の体温を上げた。
エレベーターの扉が開くと、ユウタくんは名残惜しそうに唇を離す。
YT「…めちゃくちゃかわいい顔するよな、キスする時」
その真っ直ぐな瞳に射抜かれない女はいない。
逆らえない圧倒的な色気に打ちのめされてる私を見て、ユウタくんは満足したのだろうか。
また無邪気な笑みを見せ、私に手を差し伸べた。
部屋まで歩く少しの間、彼の手を握っていたけれど
…大きなその手は傷やまめでボロボロだ。
無論これだけじゃない。
彼の体にはいたるところに、試合のせいで出来た古傷、生傷、ありとあらゆる傷がある。
“男の勲章や”って笑う姿は、どこか痛々しい。
無理して作ってると、すぐに伝わる笑顔でそんなことを言うから。…そんなものより素敵なあなたの笑顔を、私は沢山知っている。
彼が望んでこの役割を果たしてるわけじゃないことはそれだけで明らかだ。
彼はどうしてこんな世界に足を踏み入れてしまったのだろう。
この世界にいると、運命の悪戯を憎むことばかり。
「…今日も試合、だったんでしょ」
YT「うん。その打ち上げで来たんじゃん」
羽織っていたシャツを脱ぎ、タンクトップ一枚になったユウタくん。
部屋の暗さを自分好みに調整する綺麗な横顔を、どこか放心しながら私は眺めている。
ユウタくんはいつか、本当の本当に、いつ死ぬのか分からないと言ったっけ。
裏社会のあれこれはジャニから聞くだけで、実際にそういった現場を目にしたことはあまり無い。
地下の試合も私はまだ見たことが無いから分からないけれど、本当にルール無視、人道無視な文字通りの血祭りがそこで繰り広げられているそうだ。
そんな世界で生きる彼を可哀想だと思う。
儚い、とさえ思う。
…本当はそんなに美しい言葉で飾れるようなことじゃないのに。
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らーみょん - ログインしないでも見れるってありますか？ (2021年9月20日 23時) (
レス) id: bc990f52e8 (このIDを非表示/違反報告)
れいら(プロフ) - WayV沼子さん» コメントありがとうございます！他の作品も読んで頂いてるんですね…!!かなり毛色の違う作品ですがどちらも応援してくださって大号泣です（ ; ; ）ありがとうございます!! ルーカスはかなり主軸の登場人物となるので、今後もご期待ください(^^)♡ (2021年9月20日 19時) (レス) id: c38a85a6a7 (このIDを非表示/違反報告)
WayV沼子 - 表現力、設定、どれも素敵な小説だと思っていたら、大好きな作者さんだったなんて…！感激です。これからも応援しています。大好きなルーカス出してくださりありがとうございます(涙) (2021年9月18日 1時) (レス) id: 2887d301bf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：れいら
| 作成日時：2021年9月14日 23時
