Part.2 ページ5
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「…………」
「…………」
顔を見合わせて、無言。
「ほひみふ、はやふはへへ」
て「としみつ早く食べて」
できるだけあいつを舌にあてないよう、慎重に声を出す。
と「おあえこほ!ふぇあしほ!」
て「お前こそ…シェアしろ?」
てっちゃんの割と的確な翻訳にちょっとじわる。
虫「ほらほら!食べないと!負けちゃうよ!」
「うう…」
て「A負けたいってさ」
り「それは言ってないでしょ」
案の定、どっちも食べ進めない。
当たり前だ。
企画倒れだ。
じっとお互いをにらみ合っていると。
し「うわあああ!」
いつの間に移動したのか、キッチンからしばゆーの叫び声が聞こえてきた。
反射的に全員が声のほうを向く。
て「なに?大丈夫?」
し「やばい!大惨事!」
て「しばゆーがなんかやらかしたっぽい」
虫さんがキッチンへとカメラを向ける。
と「…おいA、離せ」
「ふぁい?」
一瞬の隙をついて、としみつがタラン…あいつを口から離す。
そしてなんとまっぷたつにちぎって、片方をパーカーのポケットにねじ込んだのだ。
そのまま、なにごともなかったかのようにくわえ直すとしみつ。
……へえ、やるやんこいつ。
虫「え、なんか短くなってない?」
と「がんあってくわえは」
て「頑張ってくわえた?」
虫「それカメラが回ってるときにやって!」
セーフ!セーフ!
思わずとしみつと微笑み合う。
り「なにいい感じになってんの?絵面最悪だからね?」
戦犯が言うか?
ぎりり、思わず強く噛みかけて、慌てて力を緩める。
そんなとき。
いや、正確には食べたというよりは、口に含んだ?
ぐっと距離が近づいて、ぱちっと視線が交わる。
そのまま数秒間見つめ合って。
先にとしみつが、ぷいっと目をそらした。
心なしか胸が高鳴って、少しドキっとする…
わけもなくて。
ドキッとしてる暇ないし。
なんならずっとヒヤッとしてるわ。
り「やば、としみつめっちゃ食べるじゃん」
虫「いいよとしみつ!頑張って!」
て「いや、頑張らなくていいから!」
ひとりだけおかしいやつおる。
でも、当の本人はもう限界そうで。
とっても険しい顔をしている。
その様子を見かねた虫さんがひとこと。
虫「じゃあもうここまででいいよ、としみつはよく頑張った!」
り「そうだね、こんぐらいでいっか」
え、りょうくんまで?
…やけに優しくない?
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作者名:V | 作成日時:2018年11月19日 21時