【東海】Deep Down (ページ7)

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橙ルート７ページ7

「あだま…いだい…」

自動設定のアラームの音で目が覚める。
頭が揺れて、目元がヒリヒリする。

重い体を起こし、とりあえず時計を確認。
集合時間の10時まではあと30分ある。
ゆっくり用意でもしよう。

あれ？
立ち上がって、まわらない頭で考える。
この天井、この壁、このベッド。

……ミスった、ここ私の家だった。

「やっば、遅刻！」

そのへんに転がっている缶やら瓶をかき集める。
超特急でシャワーを浴びながら、冴えだした頭が昨日の記憶を取り戻す。

そうだ、私。
昨日家帰ってから、傷心を癒すためにお酒の力借りたんだった。

同時にあの光景が脳裏をかすめる。
いろんな意味で吐きそう…
でもとりあえず連絡しなきゃ。

＂すみません、寝坊してしまいました。
着くの11時過ぎになりそうです…＂

数分経って、通知が鳴った。

＂わかった。待っとる＂

既読はや。
てっちゃん起きてたんだ。意外。
ていうか、失恋後最初のやりとりがこれか…

用意を済ませ、頭を押さえながら駅まで走る。
ハイパー気持ち悪い。
でも自業自得なんだからしょうがない。

そしてぴったり1時間後。
リビングで待ち構える面々。

「あの、ほんと…すみませんでした…」
「Aが遅刻するってあんまなくね？」
「いつもてつやん家入り浸ってるから間に合ってるだけでしょ」

としみつの無意識であろうフォローを、虫さんがばっさり切り捨てる。

「ていうかA、昨日家帰ったんだ？」
「…まぁね」
「最近ずっとここ泊まってたのに珍しいね。とうとうてつやに嫌気さしたとか？」

ふふって笑うりょうくん。
対して、その言葉にハッとする私。
てっちゃんの顔は、見れない。

「いや、愛想つかすの遅すぎるげ」

としみつが言う。

「家の掃除したくて帰っただけだって」
「んで？それ夜中までやって遅刻したん？」
「…うん」

いいえ。
アラームの設定時間を、てっちゃん家で起きるときのままにしてました。
酒と共に寝落ちしてました。

「お前そんなキャラじゃないやん。なんでそんな急に掃除？」
「だから最近家帰ってなかったからだって！」

へぇ？ふーん？
としみつがいまいち納得してないって顔。
その隣でりょうくんが口を開く。

「車飛ばしてくればよかったじゃん」
「だって二日酔いが…あ、」
「ん？昨日誰かと飲んでたの？」
「いや、ひとりで…」
「ひとり？夜中まで掃除した後に？」

ひいいい！
まずった。
笑顔で質問攻めはこわい。
これならいっそブチギレられたほうがましだ…