【東海】Deep Down (ページ35)

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青ルート８ページ35

二度寝から目覚める。
また昼前。
この二日間、寝てばっかりだ。

立ち上がって顔を洗う。
いくらか頭もすっきりして、なにげなく携帯電話を手に取る。

「…えっ？」

着信3件、メッセージ3件。
全部、りょうくんから。

『見たなら返事ください』
『予定あるならそう言ってほしい』
『やっぱり渡すだけだから、ちょっとだけ時間つくってもらえん？』

ぎょっとする。
そんなに既読無視が気に障った？
まあ予定を聞いてるんだから、そりゃそうか。

『ごめんね。今日は会えない』

それだけ送る。
すかさず返信がきてびっくりしたけど、見てやんない。
私はもう、振り回されない。
通知も切った。

かと言って、特にすることもなく時間だけが過ぎていく。
昨日と同じく、洗濯、掃除。
化粧をしてスーパーにも行って。
録画したドラマを消化しようとテレビをつけたら、天気予報士が今夜は雨の予報だと言っていた。

気付けばもう夕方になっていた。
二連休もあっという間だったなあ、とあくびをした、そのとき。

インターホンが鳴り響く。
誰だろう、宅配便がくる覚えはないけど。
モニターを確認する。

「……えっ！」

なんか今日、え！しか発してない気がする。
しかも全部同じ人のせい。
そう、今この画面に映っている、

「りょうくん…？」

…あなたのせいです。

なんで家まで来てるの！
会えないって言ったのに！

メッセージを読もうとすれば、ちょうど電話がかかってくる。
少し迷って、通話ボタンを押す。

「もしもし…？」
「ねえ、なんで開けてくんないの」
「いや、会えないって言ったよね？今家にいなくて…」
「車あるけど？」
「…えっと、あ、電車で、」

言い終わらないうちに、もう一度インターホンが鳴る。
電話越しに、向こうから機械音が鳴り響く。
つまり。

「ほら、家なんでしょ？」

私の携帯電話からも、それは相手に伝わるわけで。

「ほんと早く開けて。寒い」

心なしか口調が強い。
だめだ、これはだめなやつだ。

さすがに寒空の下に放っておくわけにもいかず、渋々ドアを開ける。

「あー寒かった。誰かさんがずっと無視してきたせいで」
「…なんで」
「なんではこっちのセリフなんだけど。なんで電話も無視するし、返事もしてくんないの？」

探るような目。
責めたてる口調。
機嫌悪い？

「…渡したいものってなに？」
「え、俺今無視されたの？」

余裕げに笑うりょうくん。
あれ、いつも通りだ。

「ねえ、ちょっと出かけよ」

私の質問も、無視された。