【東海】Deep Down (ページ26)

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緑ルート１２ページ26

ジローが考えた作戦、とやらを説明していくとしみつ。
それを聞いて、だんだん呆れ顔になる私。

「あのキスマーク、ジローがつけたんだ…」
「まぁ…」
「へぇ…」

なんとも言えない空気。

とにかくその作戦をまとめると、
私の気を引きたいとしみつがジローに相談。
メシという名の作戦会議決行！
リップやらキスマークを見せつければさすがに動揺するんじゃね？
あ、ついでに女物の香水もオプションで。
こんな感じ。

電話で言っていた、会う前に口紅買っとけよ、みたいな会話ってこれのことだったのか。
妙に納得。

「なのに、香水嗅いでもリップ見っけてもお前なんとも言わんからあのシャツの出番もねぇし。なんか俺が寝てる間に勝手に告ってフラれてるし」

だから作戦は失敗だけどな、とソファーにもたれ込む。

そこでようやく実感する。
もし、この話が本当なら。
私の勘違いが、本当に勘違いだったなら。

「それ、失敗じゃないんじゃない？」
「はぁ？なに言ってんのお前」
「…だって」

言わなきゃ。
今度は私が。

「私、架空の彼女に嫉妬してた…」
「…架空？」
「としみつに彼女がいるなら諦めなきゃって」
「…それって、」
「もう二番目でもいいかな？とか思っちゃったよ、でもやっぱり一番がいい…」

うまく言葉がまとまらない。
ぎゅっと手を握りしめる。

「好き、だよ…としみつ」

言い終わるや否や、としみつが私の頬をなぞる。
優しい手つきで、髪の毛を耳にかけて。

「A、」

名前を呼ばれて、胸が震える。
心臓の音が耳にこだまする。

ゆっくり肩を抱き寄せられて、優しいキスが落とされる。
ちゅっ、とわざわざ音を立てて、私の反応をうかがってくる。

「それ恥ずかしいからやめて…」
「このほうがやってる感あるやん」

勝ち誇ったように笑う顔が、あまりに色っぽくて。
言葉を失う私の唇が、もう一度奪われる。
だんだん深くなって。
唇をはさまれて、濃厚なそれに頭がくらくらする。

「ちょ、くるし…！」
「あぁ、悪い」

悪びれもなく謝まられる。
非難の目を向ければ。

「両想いなんやからいくらでもしていいやん」
「でも限度ってもんが…」
「いやー悪い悪い。そっけなかったあのAが、そこまで嫉妬してくれてたなんて知れて、ついねぇ？」

にやにや？にたにた？
意地の悪い笑みで見下ろされる。

「なんでそんな余裕なの…童貞のくせに…」
「お前…言ったな？」

としみつの目がギラリと光る。
私の腕を掴む手に、ぎりりと力が入った。