【東海】Deep Down (ページ3)

今日:17 hit、昨日:41 hit、合計:881,482 hit

橙ルート３ページ3

ふんふんと調子のいい鼻歌が熱風に乗って耳に流れ込む。
なんかずっと上機嫌。
そんなにこれからの予定が楽しみなのかな。

「やば、寝そう…気持ちよすぎる…」
「もー！じっとして！」
「Aに髪さわられるとぞくぞくする」
「え、いい意味？悪い意味？」
「えろい意味」
「きも…」
「引くな！引くの禁止！」

ブリーチで傷み放題の髪の毛をとかす。

「ほら終わったよ」
「んー…」
「お客さーん？セットできましたよー。イケメンの完成ですよー」
「イケメン…知ってる…」

眠たいくせに褒め言葉には敏感らしい。
そして、そのまま私の胸元にぐったりともたれかかってくる。

「おっも！どいて！」
「…今癒され中だから」
「はぁ？」
「やわらかいって正義ー」
「きも。うざ。さっさと立てよ」
「いやほんとにね、違うものが勃っ、」
「言わせねーよ！」

ぐっと押し戻して、まだ温かい頭をばしっと叩く。
このツッコミなつかしいな。

Aがいじめるー！なんて騒ぐてっちゃん。
セクハラしてるお前が言うな。

「あ、もうすぐわし家出るから、Aを留守番係に任命する！頼んだ！」
「えぇ、私？」
「うむ。あ、でも夜ごはん代はあげるから。こんだけで足りる？」
「足りなーい。高級レストラン行くから」

冗談を返せば、むむ、と考え込むような顔。

「高級レストラン…」
「ガストではないからね」
「りょうと行っちゃいかんよ？」
「そっち？まぁ人のお金だから行かないけど」
「今日だけじゃなくて！これからも！」
「それは無理でしょ、もう約束したし」
「じゃあ俺ともその約束を破棄する約束して！」
「はぁ…？」

わがままだな。
自分は常にふらふらしてるくせに。

そういえば半年くらい前までは、よくこんな感じで留守番係に任命されていたな、と思い出す。

でもあるとき、夜中に帰ってきたところを私が怒鳴って。
そっからてっちゃんは、ぱったり夜遊びをやめたらしかった。

なんでキレたんだっけ。
シンプルに、留守番係なんている？とかだった気が。
いるから頼んでるんでしょ！って逆ギレされた記憶もある。

うん、今考えてもやっぱりいらない。
なのに、今夜。
また受け入れてしまった。
惚れた弱み？いや、弱すぎるでしょ私。

今日は出かけるって言ってたけど。
お風呂入ってたし、夜遊び再開だな、これは。

あーあ、また今日からひとりか。

留守番係って、遊び相手の女の人たちより地位低いよね、多分。
それが悔しくて、過去の私は怒ったのかもしれない。