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橙ルート13 ページ13

「なんか言って、死ぬほど恥ずかしいんやけど」

黙り込んだ私を見て、心配そうに言う。

「だって…そんなのありえない…」
「え、ひど。俺の気持ちありえないとか言わんでくれるー?」

傷ついたように笑う。

「…本当なの?本当に本当なの?」
「当たり前やん。うそでネックレスまで買うわけな…あ、」

てっちゃんが慌てて口を押さえる。

「…え?待って、今のって」
「だぁーもー!ミスった!」

どくどく、急激に鼓動が早まる。
じっと、話の続きを待つ。

「はぁ…そうだよ、あのネックレスはAのために買ったの…」
「…片想いの子にじゃなくて?」
「だからそれがAなんだってば!わかってよそこは!」

なにも言えない私を、てっちゃんがぎゅっと抱きしめる。
心臓がうるさくてかなわない。

「…Aが好き」

そうささやかれる。

「ね…俺じゃだめ?」

いつもより低くてかすれた声。
…そんなの。

「だめじゃなくて、てっちゃんがいい…」

素直な気持ちが自然とこぼれる。

「っ、あーもう知らん…」

なにが?そう返す前に、がしっと後頭部を押さえられる。

「…待っ、て、んんっ、」
「黙ってて」

噛みつくような、むさぼるようなキス。
もう片方の手であごをすくい上げられる。
角度を変えて、何度も、深く、激しく。

酸素を求めて口を開けば、見計らっていたように、ぬるりと侵入してくるそれ。

逃げても逃げても追いかけられる。
息継ぎする暇すら奪われる。

「待っ…!っはぁ、し、ぬ…!」

さすがに脳内に霧がかかり始め、力の限り胸板を叩いて押し返す。

「…はっ、あ、ごめ、」
「ごめんじゃ、ない…!」

てっちゃんが、私を抱きしめたまま起き上がらせる。
お互い肩で息をして。
ちょっとの間、無言。

「A…」
「っ、てっちゃん…」
「ふふ、俺今すっごい幸せ」

なんか…今日のてっちゃん色っぽいんだけど。
こんなにかっこよかったっけ、ねぇ。

目を細めて、愛おしそうに私を見つめて。
その表情にトクン、と胸が鳴る。

ゆっくり、てっちゃんの顔が近付いてきて──…

「…ちょ、ストップ!」
「えぇ!なんでよ、いいところやったやんか!」

強引に腰を抱き寄せられる。

「…あ、ネックレス!ネックレスが見たいなー?」

無理やりにこにこする私とは反対に、不満そうな顔のてっちゃん。

まぁ、しょうがない反応だとは思うけど。
たしかにいいところだったのかもしれない。

でも、多分あそこでやめなきゃきっとアレだもん、うん…アレ。

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作者名:V | 作成日時:2018年10月29日 17時

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