11/24 Tue. ページ1
Blue side
「…は？」
最近寒くなってきたなぁ、もうすぐ12月だなぁなんて呑気に話していた夜の食卓。
少し高めのすっとんきょうな声が部屋に落ちる。
『おい康二汚い。ご飯落とさないで。』
「あっごめん…いやちゃうやん。
…今なんて言った？」
『だから、俺と付き合って。』
「……。」
なんとなくつけたテレビからバラエティーの騒がしい音が流れる中で、
俺の部屋は一瞬でしんと静まり返ってしまった。
それもそう、だって俺が爆弾を落としたから。
目の前にはぽかんとした顔で俺をただ見つめる――
親友の康二。
「…あぁ買い物？買い物か、そんなんいくらでも付き合うって、」
『ちげぇよばか。分かんだろ。
俺の恋人になってって言ってんの。』
「……な、なんで？」
そう言った康二の頭上にははてなマークが浮かんで見える。
予想外だろう。そりゃそうだ。
『…寒いじゃん。』
「は？」
『だから…最近寒いし。人肌恋しいし。
あともうすぐクリスマスだし。彼女とかそんなの、欲しくなったの。』
「そんなん…去年の冬も彼女おらんかったし、いつもイベント行事には完全に無関心やん。
しかも俺…お、男やで？」
昨日から考えてた言葉が、いかにも真っ当な正論で返されて。
何に関しても鈍感すぎる康二のことだから、
うまいこと流されたらなぁなんて思ってたけど。
いくら康二でもそう簡単にはいかなかった。
『…はぁ…。』
俺から言えることはもうこれ以上見つかんなくて、
恥ずかしくなってきた俺はもうテーブルに伏せるしかなかった。
「しょっぴーどうしたんよぉ…
どっか具合でも悪いん？」
『そんなんじゃねぇよ…。』
あぁ、こうなる前にふっか辺りにちゃんと相談しとけばよかった。
「…本気で付き合いたいって思ってるん？
…お、俺と。」
伏せた俺を見てどう思ったのか、
しばらくして遠慮がちに小さい声でそう聞く康二。
『…うん。』
「恋人として？」
『ん。』
「……俺のこと、好きやったん？」
『…うん。』
ごめん康二。心の中で謝る。
嘘じゃない、康二のことは好きだと言い訳もして。
でも、これは告白なんかじゃない。
「…いいよ。」
『…え…？』
顔を上げると今度は康二が俯いていて、
それからちらりと見上げた康二と目が合う。
「…いいよ、付き合っても。」
顔を赤くして照れる康二に、
不覚にも、可愛いと思ってしまった。
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雪 .(プロフ) - ポンさん» ポンさん初めまして。暖かくて優しいコメント頂きありがとうございます。なんと…！私の作品がポンさんの心を少しでも動かせているなら本当にとても嬉しいです（ ; ; ）貴重なご意見もありがとうございます。参考にさせて頂き、次回作も楽しんで貰えるよう頑張ります！ (2022年4月17日 23時) (
レス) id: 11c8e42471 (このIDを非表示/違反報告)
ポン - はじめまして！主様のお話を拝読してなべこじの沼に落ちました！もう何度も何度も読み返しております。日頃こういったコメントをお送りすることがないので不慣れで申し訳ありません…！もしも機会がありましたら、主様のなべこじをこれからも拝読したいです！ (2022年4月17日 20時) (レス) id: c40218ffb2 (このIDを非表示/違反報告)
雪 .(プロフ) - 比呂さん» 暖かいコメントありがとうございます…！なべこじ担に楽しんで貰えるように制作したので、優しいお言葉頂けるととっても嬉しいです(^^*)私も大学生なべこじが大好きマンなので、続編や新作なべこじ作るカモです…！大きな励みになる言葉をありがとうございました！; ; (2022年3月15日 22時) (レス) id: 11c8e42471 (このIDを非表示/違反報告)
比呂(プロフ) - バレンタインの番外編も何度も読み返してます。康二くんの描写も可愛いし、両思いまでの二人のところもあまりに切なくて。最後は素直に伝える翔太くんもかっこよくて。とにかく大好きです。突然長々とすいませんでした。 (2022年2月23日 22時) (レス) id: a496cb4725 (このIDを非表示/違反報告)
比呂(プロフ) - はじめまして。ぜんぶクリスマスのせいを何度も何度も読み返している者です。なべこじ担の私ですが、このお話でなべこじのお話を読むことにハマって今でも一番好きなお話です。→続きます。 (2022年2月23日 22時) (レス) @page46 id: a496cb4725 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雪 .
| 作成日時：2020年12月12日 16時
