初恋のはなし 2 (ページ49)

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『あっ！拳さんにプレゼントするの、届いたって。取りに来てくださいってメールだった』

そうだ。
プレゼント、欲しい色がなくて取り寄せてもらってたんだ。
見つけた時、絶対拳さんに似合う！と思って、それ一択だったなぁ。
まさか、喧嘩しちゃって渡せるどうかも分からない状況だなんて、その頃は思ってもみなかったな。

とりあえず、あと一限だけ授業を受けて、2人に断って、プレゼントを受け取りに行った。
色なんかを確認して、プレゼント用にしてもらって、代金を払う。

だけど…これ、受け取って貰えるのかな。
まゆこちゃん達は大丈夫って言ってくれたけど…
どうしよう…不安で推し潰れそう。
拳さんに会うの…怖いっ。
そもそも会って貰えるの？

何故だか一気に不安な気持ちがぶわぁぁっと溢れて、立ってられないっ。

『…あれ？…A、ちゃん？』

買ったばかりの紙袋を握りしめて、なんとか堪えていると、前から急に名前を呼ばれて、びっくりして思わず顔を上げる。

『えっ…伊沢、さん？』

まさか、クイズ王で拳さんの会社のCEOである伊沢さんにこんな所で会うなんて思ってなくて、だけど、伊沢さんの顔を見たら急に抑えていたものが溢れて止まらなくなってしまって、ボロボロボロと涙を零して、へたりこんでしまう。

『わっ、ちょ、Aちゃん、大丈夫！？』
『ごめっ…なさいっ…ごめんなさいっ…』
『謝らなくて大丈夫だから、ほら、掴まって。』

伊沢さんの肩を借りようとしたら、大きすぎてお借り出来なかったから、腕にギュッと、しがみついた。

『本当は抱っこで運んであげたいところだけど…流石にやめておくね。タクシー乗れる？オフィス近いから、オフィスに行こう』

伊沢さんに支えてもらいながら、なんとかタクシーに乗り込む。
危うく過呼吸みたいになる所だった…伊沢さんがあんな所にいるなんて思ってなかったけど…助けてもらえて本当に良かった。

『いざわ、さん…あの、ほんとにすみませんっ…あの…もう、大丈夫です、から…』

オフィスに行くなんてそんなの迷惑になっちゃう。
それに…オフィスには拳さんがいるんでしょ？
拳さんに会いたいのに…っ…ちゃんと話し合って、仲直りしたいのに…もし出来なかったら？って悪い方にしか考えられなくて、手や足がブルブルと震えてしまう。