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『…とりあえず、なんであんな所でバイトしてたのか、教えてほしいな』
『…』
『言えないことなの?』
『ちがっ…あの…どうしても、急ぎでお金が欲しくて…短期でバイト探して…』
『で、あんなえっちな格好で、胸も足も見せて、バイトしてたんだ』
『そんな言い方…。私だって…メイドさんの格好しなきゃいけないなんて知らなかったんだもん。面接で、そんなこと言われなかったし…』
『だったら、そう言われた時点で断れば良かったでしょ。…とにかく、あのバイトは今すぐ辞めて』
『えっ!!やだっ!あと1日だけだからっ…』
『あと1日だけでも、ダメ!!あんなえっちな格好で街頭でチラシ配りとか、危ないでしょ?』
『…でもっ』
『…今日も男の人に手、掴まれて、危ない目に合ってたでしょ?それに、周りの人がどれだけやらしい目で見てたか知ってるの?それとも、やらしい目で見られたかったの?』
冷静に話し合うつもりだったのに、Aが頑なに辞めるって言わないから、こちらもヒートアップしてしまう。
いつもなら、冷静に何事にも対処してきたはずなのに、Aのことになると、頭に血が登ってしまう。
『なんで…なんでそんな風に怒られなきゃいけないの?バイトだって…Aがどんなバイトしようと、Aの自由でしょ?』
『…っ!!いつからそんな反抗的な子になったの?』
Aの反抗的な態度に、こちらもイライラして、つい大声を出してしまう。
普段、こんな大声出すことないんだけど。
『だってっ…』
『だってじゃない!Aなら頭良いんだから、家庭教師とかそういうことしたらいいでしょ?』
『それじゃ…意味ないんだもんっ!!』
『欲しいものがあるなら、お金貸してあげるし、ってか買ってあげるから…お願いだから、辞めて』
『…やだ!!!辞めないっ!!』
『A!!』
机をばん!!と叩いて怒鳴りつけてしまう。
『っ…っ…明日で、おしまいだから…っ…明日したら、もう辞めるからっ!!』
涙をポロポロ流しながら、それでも反抗するAに、はぁぁっと深いため息が出る。
『…どうしても行くって言うなら、行けないようにしないと、ね』
『…えっ?』
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作者名:奈絆 | 作者ホームページ:
作成日時:2021年9月19日 22時