夏の魔法３

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松岡さん、神ちゃんを見つけるなり、


「智洋！久しぶり！
相変わらず、ちっこいな！」


言うて、むぎゅうって抱きしめてんで？


「ちっちゃくないし！
松岡さんがおっきいだけですって」


「またムキになって。
そういうとこが可愛いんだよな」


「可愛いありません。
もう２８ですよ」


「智洋ももう２８か！
あんな子供だったのによ」


「あの時も立派な大人でしたって」


「可愛いひよっこだったわ」


髪の毛、撫でたり、
普通の距離感ちゃうって。


その昔、口説かれたりしてへんかった？

気になってしゃあない。


「松岡さん、うちの新入社員の重岡です。
途中入社なんで、僕と同い年なんすけど」


「重岡大毅ですっ。
よろしくお願いしますっ」


姿勢を正して、名刺を差し出すと。


受け取った松岡さんは、
俺をじいっと見つめた。


胸の奥まで見透かされてる気分。


「重岡くんな、よろしく」


「よろしくお願いしますっ」


一瞬、値踏みされたような？

気のせいよな。









半日一緒に過ごすだけで、
松岡さんが、どんだけ、

仕事に情熱持って、
真摯に向き合うてるか、
まざまざと見せつけられた。


んでもって。

それだけやないねんな・・・


松岡さん、神ちゃんに、気ぃあるよな？


俺にはそうとしか思われへん場面が多発。


１２月に北海道の大自然の中でのイベントを企画しとって、
その現地視察と打ち合わせに来てんねんけど。

協賛企業の製品の牛乳飲まなあかん場面があってんな。


実は、神ちゃん、牛乳飲まれへんねん。

俺が代わりにこっそり飲もうとしてたら、
そん前に、松岡さんが飲み干しとってさ。


神ちゃんの苦手なもんまで知ってんねやって・・・


神ちゃんは、松岡さんが買うてくれた、
ソフトクリーム頬張って、幸せそうに微笑んでる。

可愛ええ。

雑誌から抜け出てきたアイドルみたいな可愛さやけれどもっ。

松岡さんが、


「相変わらず、美味そうに食うなあ。
お前はアイドル歌手か」


俺の心ん中と全くおんなじセリフ先に言うて、
勝手に写真撮ってるねん。


まるで二人のデート見せつけられてるみたいや。

俺が彼氏やのに、
人前やし、
そんなあからさまに態度に出されへん。


胸ん中は、
嫉妬というぶ厚い雲で覆われてる。

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