夏の魔法３

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「とも。泣かんでええよ。
嬉し過ぎて、
俺、今、やばい状態なだけやから」


「だい・・・？ほんま？」


「当たり前やん！
とも、めっちゃモテるし、
何人か彼氏おったやろ？
ケーケン豊富なんやろなって。
過去にまで、
勝手にめちゃくちゃ嫉妬してた」


「・・・過去にも？」


チラッて、横目で俺を見る、とも。


照れくさそうで、
不安そうな表情は消えてて、
ほっとする。


「そらそうやん！
とも、モテ過ぎ」


「そんな事ないけど・・・
けどな、誰と付き合うても、
土壇場なったら、
その・・・キスさえ出来へんねん。
そんで、いつも俺ん方が振られるねん」


まさかやけど・・・

自惚れてもええん？


「とも。
それって、さ、俺のせい？」


「俺が一方的にしたキスやのにな。
忘れられへんかった。
好きな人としたキスが。
迫られると急に嫌悪感感じてもうて。
好きになれるって思った相手でも、
いつもあかんかって・・・」


「とも。ごめんな」


「しげが謝る事ちゃうよ。
俺が勝手に片想いして、
勝手にキスしてさ・・・
それを忘れられへんかっただけやねんから。
恋は諦めて、仕事に邁進してた」


「それで、めきめき出世してんな？」


「うん、まあ、そんなとこ」


「とも。
寂しかったやろ？」


いつもの神ちゃんなら、
そんな事ないわって返ってくんのに。


「・・・うん。
寂しかった。
一人は嫌や」


甘えて、抱きついてきてん。
　

他の誰も知らんとこ、見せてくれて。


俺が彼氏なんやって。

実感して、じんとなる。


「これからは俺がおるから。
ずっとずっと一緒やから。
ともに寂しい思いなんか、絶対にさせへん」


「ほんま？
しげ、あっさりしてるし、淡白そう」


経験ない割に、
いきなりの爆弾発言に、

俺の方が赤面するわ。


「なっ、なんちゅう、えっちな・・・」


「違う！そういう意味ちゃうくて！
連絡頻度とか！」


「あ、そっちか。
そんな事ないと思うで？
ほんまは、ともには毎日電話したいもん。
ともが嫌がるかなって遠慮しとってん」


「そうなん？
昨日も電話くれへんし、
俺、寂しかった・・・」


「ほんなら、ともから、かけてきたらええやんか」


「やや。
・・だいからがええ」

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