【鬼滅の刃】春夏秋冬＿＿恋焦がれ【短編集】

苦痛に歪む2【累】 ページ10

「ねぇ、何で逃げたの？」




『ご、めんな、さい。だって、、累、君が、ｳｸﾞｯ』




この発言と同時に更に首を絞める力が強まり首筋を血がつたっていくのを感じる。





「あのさ、何度も言ったよね。僕は夫で、君は僕の妻。妻は夫を支える役目があるでしょ。くだらない言い訳なんてしないでよ」





確かにそれは何度も言われた事だけど、何でそれに従わないといけないの？





私の頭の中でそんな疑問がよぎる。反論したかったけど





首が絞まって上手く呼吸出来ていないせいか、酸素が足りずに意識が朦朧としていき舌もまわらなくなってきた。





私、こんな所で死ぬのか……そう考えながら意識を手放そうとすると、




首を絞めていた糸が緩み一気に酸素が肺に入り込んでくる。




『ｹﾞﾎｯｹﾎｯ』





ﾋｭｰﾋｭｰと早く呼吸をする。そんな私を累君は何故か満足そうに見た後、私の上に馬乗りになり





今度は自分の手で私の首を絞めた。









「綺麗だよ。A」






『どう、して、』







「僕は君の苦痛に歪んだ顔を見るのが大好きなんだ。すごく綺麗で美しい。…だから君の全てが欲しいんだ」









そう言って、狂喜に満ちた表情を浮かべた累君は私の首を強く絞めては緩め、




この行為を何度も何度も繰り返した。




それから長く苦しい時間が続き、





抵抗する気もなくなり、されるがままになっていた私の耳元に累君は近付き





「好きだよA。これからもずっと、僕にだけにその顔を見せてね」






「それが君の役目だよ」と囁いた。









寒さで手足が悴み


立つ気力さえもなくなってしまった中、


そんな少女を抱え、幼い顔の狂喜に満ちた鬼は


愛おしそうに少女を見つめながら


夜の闇へと消えてしまった。

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