苦痛に歪む【累】 ページ9
※ヤンデレ
『はぁ、はぁ』
あの山を抜け出し、どれ位の時間走り続けたのだろう?
寒さのせいか、足の感覚はもうほぼなくなり手が悴んでまともに動かせない。
でも、あの子に捕まってしまったらこれよりももっと酷い仕打ちを受ける。
疲労と痛みを抑えつけながら私は必死に走り、
ポツンと1つ佇むお寺を見つけた。
その瞬間、緊張の糸が切れたのか私はへたり込み安堵の溜息を溢した。
日が明けるまで此処で休ませてもらおう。
そう考えながら立ち上がろうとした……が
突然、首に激しい痛みが走り立ち上がるどころか地面に倒れこんでしまう。
自身の首元をよく見ると細い糸が絡み付いており、何もかもを理解した私の顔からは血の気が引いていく。
「ねぇ」
『ひっ…!』
震えあがる私の背後で聞き慣れた声がし、
恐る恐る後ろを振り向く。
『累…君』
そこには怒りを露にし、冷たい目で此方を見つめる幼い鬼………私の旦那様が立っていた。
自分よりも幼い、ましてや鬼を旦那と呼ぶのには理由がある…呼ばざるをえない…。
あれは1月程前、貧乏だったせいか、実の両親に捨てられた私は途方にくれ泣きじゃくりながら行く宛もなく歩いていた。
そして、あの山…累君の住む山に迷い込んでしまい
大木の傍でとまらぬ涙を拭っていると、顔に赤い斑点のついた幼い子に声を掛けられた。
その子は名前を累と名乗り私の話を親身になって聞いてくれて…凄く嬉しくて…
私は累君にいつしか心を開いた。
なのに累君は日が経つにつれ、私を自分の妻と呼ぶようになり他の人と話す度に
私の体を糸で傷をつけたり縛ったり、、話した相手を殺めてしまった。
でも累君はあの時、私の話を聞いてくれた。きっと悪い子ではない。
こう信じて疑わなかった。けれど、
偶然、累君が人を食らっている所を見てしまい累君が鬼なのだと唐突に理解しつしまった。
それで怖くなった私は累君から逃れるためにあの山から出た。
だがそれも結局無駄だった。
累君からは逃げられない。
『ガハッ』
首に絡み付く糸が急に絞められ上手く呼吸が出来なくなる。
目の前には先程と変わらず冷たい目を此方に向ける累君。
誰か、お願い。助けて…
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美桜 - 初めまして。リクエストいいですか?夢主善逸同期恋人。アオイの入浴中覗きをしたと疑われる善逸。善逸犯人ではありません。犯人はアオイに片思いのモブ隊員。モブ隊員は蝶屋敷に入院している。お願いします。 (2019年12月17日 13時) (レス) id: 87339a530e (このIDを非表示/違反報告)
*十二鬼月*を愛する者 - 夏曇さん» コメント失礼します。急で申し訳ないのですが、可能でしたら黒死牟に夢主が愛される話を書いて頂けないでしょうか?夢主は花魁設定で黒死牟が郭に通っているという感じでお願いします。 (2019年12月15日 11時) (レス) id: 4587451935 (このIDを非表示/違反報告)
マキラ - ありがとうございます! またリクします! (2019年11月1日 12時) (レス) id: 02a5017c6d (このIDを非表示/違反報告)
夏曇 - マキラさん» 書き終わりました!このような感じで良かったでしょうか?リクエスト有り難うございました! (2019年10月13日 23時) (レス) id: 2932db30f1 (このIDを非表示/違反報告)
夏曇 - 鯉喘さん» 返信、遅れてしまい申し訳ありませんでした。了解です。頑張って書かせて頂きます! (2019年10月13日 20時) (レス) id: 2932db30f1 (このIDを非表示/違反報告)
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