阿笠くんは・・・３

Episode116 ページ16

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放課後、いつも通り彼らと帰宅し、家に帰る
ウィッグとカラコンを外せば目立つ目と髪の色をした人間と目が合う
いつも通りのこと…ではなかった
驚いて思わず腰を抜かし、後ろに倒れそうになったところで支えられる



「うわ…！！」

「あら、そんなに驚いてくれるとは思わなかったわ」



ごめんなさいね、とくすくすその正体は笑う

……シャロン、
さすがというべきか
俺が鈍いのか
気配を消して急に後ろに立たれたら誰だってびっくりする

腰が抜けた俺の腕を引っ張り起こし、そのまま抱き抱えられる
正直この格好は本意ではあまりにも好ましいと言えなさすぎるがいっそ仕方ない
この状態では動けないからな…



「……」

「何か言いたそうね」

「驚かされたら誰だって不満抱くだろ」

「驚かせたつもりはないのだけれど」



と、楽しそうに笑うものだから嘘なのは明白だ
今度寿司でも奢ってもらわないと気が済まないなこれは
なんて心の中で言いながら、彼女意のままに外へと連れ出される

……外へと連れ出される？



「俺の部屋はここじゃないんだが」

「知ってるわ。たまにはおでかけしましょ？海とかどうかしら」



海はもうしばらくはいい…

ここでジタバタ暴れてこででも上げて見せようか
隣人なら助けに来てくれるだろう
そうでなくても帰宅してウィッグ取るために洗面台にいたはずの俺がいなくなったとなれば博士が探しにくるだろう
それを予測しているのかしていないのか
何事もないようにベルモットは俺を抱えて移動する

車に乗せ、シートベルトをつけ、運転席へと乗り込む



「どこ行くんだ…」

「そうねぇ…海が嫌ならドライブでもどう？」



ちょっとそこまで、と適当なことを言う
話したいことでもあるのだろうかと少し身構えたが、彼女が、俺に？
まあそうそうないだろう
両親の話もこれ以上は俺にする気は今の所ないようだ
なんとなく、雰囲気でわかる
これ以上はまだ踏み込むなと言う空気が漂うのだ

きっと彼女にとって引っかかるものがあるのだろう
それは俺の気にすることではない



「組織のこと、知りたくない？私が組織でどう言う役割を果たしているのか…とか」

「…教えてくれるの？」

「やぁね言ってみただけよ、お子ちゃまにはまだ早いんじゃない？」



そう彼女は笑ったが、なんとなくわかった気がする
誰かに話したくなることもあるのだ
一人で抱える秘密がどれほど辛いか、重いか……

誰かに話してしまいたくなる気持ちは、俺もよくわかる

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