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幕間 弐 ページ9

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「見も知らぬ、無関係な誰か、だと?」


 眉を顰めて、綾辻が復唱する。京極は、無言で頷いた。


「……動機となった恋愛感情、と云うのが、俗に云う異常性癖ならば、」
「彼女は正常じゃよ」


 綾辻が云い終える前に、京極が割り込んだ。珍しい彼の様子に一瞬呆気に取られるが、綾辻は直ぐに自分のペースを取り戻す。


「正常なのであれば、犯罪になど走らないだろう」
「ふむ……確かにそれもそうじゃな。では、言葉を変えようかの。彼女は、異常な性癖など持ってはおらんよ。只純粋に、と或る人間を好いておるだけじゃ」


 京極が此の話をし始めた時点で、予感は有った。犯罪者の心理に就いて彼が綾辻に質問する時は、大抵、次か、その亦次に京極が起こさせた犯罪者の心理が、その質問の内容に能く似ていたから。


「……次に逢魔京極辻から沸いてくる犯人は、その『純粋に誰かを好いている女』な訳か」
「……恐らく、の」


 煮え切らない。歯切れが悪い。そんな返答は、京極にしては稀だった。


「珍しいな。貴様のそんな態度など」
「……確信はあるのじゃよ。じゃが、のう……」


 ――ああ、矢張り。
 と、綾辻は思った。矢張り京極は、その彼女とやらに何らかの思い入れが有る、と。だが


「不思議じゃのう……。こんな風に思うなど、初めてじゃ。何故かのう……」


 頸を傾げる京極。
 この男は、自身の気持ちに気が付いていない。否、気付かないようにしている。


「……その『彼女』とやらは、どんな女だったんだ?」


 膝の上に飛び乗って来た黒猫を撫で、煙管を吹かし。至極詰まらなそうに、興味など微塵もなさそうに、綾辻は訊いた。
 ぽつりぽつり、亦寂しげに、京極は語りだした。


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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 京極夏彦 , シリアス   
作品ジャンル:アニメ
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ふらり火(プロフ) - あにもーさん» え、あ、ごめん! (2016年8月21日 21時) (携帯から) (レス) id: 358f9cd815 (このIDを非表示/違反報告)
あにもー - うん、そういうものだと思ってましたです。文がわかりにくくてごめんね (2016年8月21日 20時) (レス) id: 8d0782fc85 (このIDを非表示/違反報告)
ふらり火(プロフ) - あにもー@NL厨さん» いや、『七夕』の話の台詞やらなんやらを一寸変えるだけだよ? (2016年8月20日 23時) (携帯から) (レス) id: 358f9cd815 (このIDを非表示/違反報告)
あにもー@NL厨(プロフ) - おぉ!楽しみー! お盆だしね、会いたいよ!!!(誰) (2016年8月20日 21時) (レス) id: a66a974f2e (このIDを非表示/違反報告)
ふらり火(プロフ) - あにもー@NL厨さん» うん、出しちゃおう!( 織田作ね……何としてでも会わせたくて、やっちゃった← (2016年8月20日 17時) (携帯から) (レス) id: 358f9cd815 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ふらり火 | 作成日時:2016年7月20日 17時

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