弐十八 ページ28
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「よし!作ろう!」
沢山の材料をひの屋のキッチンに並べ、エプロンを身につける。
坂本から貰った携帯で、Aはレシピを調べ、それを参考に作ることにした。
九兵衛が初めてのお菓子作りということもあり、初心者でも簡単なレシピを選んだ
…はずだった。
「お妙さん…なんでそんな禍々しくなるの」
「おかしいわねぇ、レシピ通りにしたのよ?」
「神楽ちゃんでかすぎ!!」
「私のでっかい愛を表したネ!余ったら私が食べてやるネ!」
「それなんなら自分が食べたいだけじゃん!ってさっちゃんさんはどんなデコレーションしてるんですか!?」
「ん?銀さん私とセ」
「こんなんあげれるか!!」
「月詠さんはクナイなんて刺して、食べた人必ず殺すつもりなんですか」
「ここここれは銀時用じゃ!!」
「いや照れて言われてもそういうことじゃないんですよ」
問題だらけの波瀾万丈の時間だった。
初心者でも作れるようにと選んだレシピは経験者には効いておらず、九兵衛だけが形が悪いもののまともに作れていた。
常日頃、簡単ではあるが料理経験のあるAは、自分のお菓子をする手を止め、ひとまず彼女らのサポートに回ることに徹した。
それに付随して、頑張ってお菓子を作る彼女らを写真に納めた。
「あらあら。大変なことになってるわねえ」
「日輪さあん。助けてくださいよ〜」
くすくすと笑う日輪に反して、目を丸くし驚愕といった様子を見せる晴太。
キッチンはまるで戦場のように荒れていて、時には言い合いになっている人達もいた。
空が橙色に染まる頃になって、やっと彼女達のお菓子が完成した。
あとはあげる人一人一人の小さなメッセージカードを書くだけだったが、時間が時間なだけあって、後は個人でということになった。
「とりあえず、皆さんお疲れ様でした」
「Aちゃん、ありがとう。君がいなかったら僕らはきっとお菓子を作れていなかったよ」
「ごめんなさいね、私達の手伝って貰っちゃって」
「貴方のお菓子、まだ作れていないのに。申し訳ないわ」
「いいんですよ!また時間ある時に作りますから」
紙袋片手に帰路につく彼女らに手を振り、自室に戻って携帯を開いた。
(楽しかったなあ…)
画面には苦労しながらもわくわくとした顔でお菓子作りに挑む皆の姿。
A自身のお菓子が作れていなくても、初めての女子会といった時間を過ごし、幸福感を感じていた。
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Nattu(プロフ) - 麗羅さん» お返事遅くなって申し訳ございません。コメントありがとうございます*辰馬凄く好きなので自家発電にと書いていましたが、読んでいただけて幸いです。楽しみながら書きたいと思います*^^ (2021年2月20日 1時) (レス) id: 8022db4695 (このIDを非表示/違反報告)
麗羅 - 辰馬の小説、少ないので嬉しかったです!面白くて、次が楽しみです!更新頑張って下さい! (2017年10月29日 16時) (レス) id: 9e2ac1505a (このIDを非表示/違反報告)
Nattu。(2代目)(プロフ) - れんりさん» れんりさん、はじめまして。コメントありがとうございます。とても嬉しいです…ゆっくりとではありますが更新していきますので、よろしくお願いします!! (2016年4月11日 22時) (レス) id: db806a29f6 (このIDを非表示/違反報告)
れんり(プロフ) - 凄く面白いです!!更新楽しみに待ってます…! (2016年4月10日 9時) (レス) id: 285e1a358c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Nattu | 作成日時:2015年11月17日 23時