十九 ページ19
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(なんか…俺おかしいや)
自分でも分かっている感情。
もやもやしたこれは、嫉妬心と恋心が入り混じったもの。
「似合っとるのーA」
「あーはいはいどーも」
「もう少し真面目に受け取ってくれんかのー?」
「貴方には陸奥さんがいるでしょ。他の子に愛想尽かしてたらふぐりぶち抜かれますよ〜?あの人、案外ヤキモチ妬きだから」
相変わらずの冷静な対応ぶり。
あまり変わらない表情。
片側の顔が隠れているとはいえ、アルコールのせいで紅くなった頬。
夜兎特有の白い肌が、露出され、ちらりと横目に見つつ、目をそらす。
「ん?何ですか、銀さん?」
「あ、いや…ほら!!辰馬飲みすぎだって!!」
「んー?こんな別嬪さんがいる所じゃと酒が進むんじゃあ」
話を逸らす自分が情けない。
元来明るく人垂らしな辰馬が羨ましく、店の電飾のせいか少しばかり輝いて見える。
(俺…かっこわりぃ)
それでもAは優しくて、
「銀さんも飲みましょうよ。ボーイだってお客さんのおもてなししなきゃ。ねっ、坂本さん」
「…ん、おぉっ、飲むぜよ!!」
(ちょっと嫌そうにしてんじゃねーよ辰馬)
「しゃあねぇな。俺ももてなしてやるよ、社長さんよ」
Aを挟んで男二人が並ぶ。
妙達が冷たい目で見るのも気にしない。
ただAの隣にいたい、それだけだった。
そんな時。
「おね…陸奥さん」
陸奥は、酒を飲みながらAの肩を抱く船長を睨みつける
「…おい。坂本何しちゅー」
「むむむ陸奥!?あっ、いや」
「酒を飲むのはいつもと変わらんが、Aを白もじゃと一緒に落とそうと?」
「俺を巻き込まないでくれる!?」
「落ちたもんじゃのーバ艦長」
「黙れクソアマ!!おまんと違ってAは優しいきに!!」
「でもボディータッチは許してないですよ」
そう言ったと同時に、夜兎三匹の拳が辰馬に飛ぶ。
「女の敵ネ!!許さないアル」
「帰るぞ」
嫌だ、と駄々をこねる辰馬はそのまま副官にずるずる引きずられて帰っていった。
その際こそこそと陸奥とAは話していたが、何を話していたかまでは分からない。
「お前、辰馬達…ってか陸奥と仲良いの?」
「まあ、ね。あの人、いい人だし仲良くさせて貰ってる」
「ふぅん…」
帰る彼女を見ながらAは目を細めていた。
その後すぐに、妙から休憩を入れるように言われたAは皆の差し入れの為にコンビニに出ていった。
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Nattu(プロフ) - 麗羅さん» お返事遅くなって申し訳ございません。コメントありがとうございます*辰馬凄く好きなので自家発電にと書いていましたが、読んでいただけて幸いです。楽しみながら書きたいと思います*^^ (2021年2月20日 1時) (レス) id: 8022db4695 (このIDを非表示/違反報告)
麗羅 - 辰馬の小説、少ないので嬉しかったです!面白くて、次が楽しみです!更新頑張って下さい! (2017年10月29日 16時) (レス) id: 9e2ac1505a (このIDを非表示/違反報告)
Nattu。(2代目)(プロフ) - れんりさん» れんりさん、はじめまして。コメントありがとうございます。とても嬉しいです…ゆっくりとではありますが更新していきますので、よろしくお願いします!! (2016年4月11日 22時) (レス) id: db806a29f6 (このIDを非表示/違反報告)
れんり(プロフ) - 凄く面白いです!!更新楽しみに待ってます…! (2016年4月10日 9時) (レス) id: 285e1a358c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Nattu | 作成日時:2015年11月17日 23時