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 「こちらで収穫があれば伝えに向かいます、一人で岩を砕くのは難しいでしょうし」情報といえばこんなものですかね、となだらかな斜面に一歩足を出す。
 ───と。「…いや、いやいやいや」数分前のあの人物と同じ言葉を言って、旅人は私の前に立った。「それだとAが危ない目に遭ったらどうするの」
 はっとしたようにパイモンまで「そうだぞ、!」なんて旅人の言葉に賛同を始めてしまった。返答をする間もなく「一緒に行くよ」と言った旅人に腕を引かれ、私たちの“兄弟捜索”は幕を上げたのだった。



 琥珀は半透明だから何かが入っていても分かるだろう、とよく目を凝らして琥珀を観察。イノシシが閉じ込められているものもあったりしたのだが、なんとか見極めて少しずつ山を下って行った。

 捜索開始から早二十分。現在は山の中腹あたりだろうか…そこに明らかに背の高い琥珀が生えており、もしかしてと足を止める。
 その琥珀の中の影は、案の定人の形をしていて。そろりと覗いてみれば、動きを切り取ったかの如くこちらへ手を伸ばして救助を求めようとしている人間がその中にはめ込まれていた。
 「旅人さん、これ」ちょいちょいと旅人とパイモンを手招きで集め、琥珀の方へ指を向ける。「あ」「あっ!」




「…どうします?」

「……割る?」




 「多分できると思うから」と旅人は琥珀に手のひらで触れた。「パイモンもAもちょっと離れてて」そう言われた通りに横へ捌けると、ぐっと旅人が力を入れたのと同時に琥珀の表面に割れ目が入る。薄いオレンジの破片がぱらぱらと地面に散った。
 すると───ばき、と一気にヒビが琥珀を駆け巡る。旅人が勢いよく手を離した瞬間、表面だけだったヒビが奥深くまで通り、大きな欠片がごとんと落ちた。

 中にいた、あの人の兄弟だと思われる人物は…崩れ落ちるように膝をついて、ひゅうひゅうと咳混じりに酸素を吸い込む。
 あの状態では喋ることも出来なさそうだと判断し、私はゆっくりと彼に近付いた。「喉が詰まっていますか?詰まっているのなら一瞬息を止めてください。詰まっていなければ一定で呼吸を」そう話しかければ、彼の喉からか弱い音が鳴った。私の言う通りに息を止めたらしいが、顔は酸欠で苦しそうだ。

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もゆ(プロフ) - 2024になった今でも、ずっと楽しみにしています。 (1月6日 2時) (レス) id: 72eec337ed (このIDを非表示/違反報告)
gtuysut5843…(プロフ) - 更新楽しみにしてます! (2022年8月30日 0時) (レス) @page45 id: 5bb1efd8a4 (このIDを非表示/違反報告)
なつおと(プロフ) - 夢さん» コメントありがとうございます。そういって頂けるととても励みになります!一定間隔空けての更新となりますが、素敵な内容をお届けできるよう頑張りますね。 (2022年4月5日 21時) (レス) id: 10e597e23d (このIDを非表示/違反報告)
- 小説めちゃくちゃ面白くて大好きです!続きがとても気になります!更新頑張ってください! (2022年4月4日 18時) (レス) id: 5b6bab53ae (このIDを非表示/違反報告)
なつおと(プロフ) - ルリさん» コメントありがとうございます。感嘆符の数だけ気持ちが伝わってきていて私も嬉しいです。これからも更新頑張らせて頂きますね! (2022年2月20日 21時) (レス) id: d342b4dd7b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:  | 作成日時:2021年1月25日 21時

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