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違う方向へ回転を始めた頭を止めたのは、その高い声だった。
パイモンだ。テーブルの木目から目線を上げて横を見ると、パイモンが声を掛けたらしい旅人もこちらへやってきていた。
「なにか考え事?」
「ええ、まあ…そんなところです。すみません、探して頂いていたようで」
「別に良いよ、気にしないで。…どんなことを考えてたの?」
話題を変えたことに上手く乗ってくれたかと思いきや、わざわざ内容を聞きにくる旅人。やっぱりこいつ私のこと疑ってるのでは、なんて考えが思考の海を横切る。
答えないわけにもいかない…
まぁ適当に言えば良いかと口を開こうとすると、…「あっいや、無理に聞き出したいわけじゃないんだけど」
「その、…きみのことを、知りたくて」
「
オウム返しでそう訊ねれば、少しだけ恥ずかしそうにしながら旅人は頷いた。ふむ、素振りからして、
「確かに、オイラも知りたいぞ!オイラたちもコイツも、お互いのこと全然知らないもんな…」それを言われてしまえば確かにとしか言えない。私から何も明かしていないのなら怪しまれても当然だし、信頼を持たせていた方が何かと都合が良いし…。
何度か考えてから、私は微笑みを作って言った。「それじゃあ、こちらへどうぞ」ここの店主とは顔が知れているから千岩軍に突き出されることはない、と説明して私の向かい側にある椅子を指すと、旅人はそれを疑いもせず、少し驚いたような表情を見せたあと、顔を綻ばせてそこへ座った。
「えっと…俺は空。知っての通りだと思うけど、旅をしてる」
「オイラはパイモン、空の最高の
「
「へぇ〜、Aはすごいんだな!どんな仕事なんだ?」
きらきらとした眼で、パイモンは私を見つめる。これだけ期待されてしまうと罪悪感がどっと押してくるのでやめて欲しい…ということで、これについては「宅配のようなものですよ」とパッと頭に出てきた単語を並べて完結。次の彼らからの問いを待つ。
「えっと…じゃあ、好きな色は?」
「それ需要あります…?」
「需要とか関係ないよ」
「…そうですか」
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もゆ(プロフ) - 2024になった今でも、ずっと楽しみにしています。 (1月6日 2時) (レス) id: 72eec337ed (このIDを非表示/違反報告)
gtuysut5843…(プロフ) - 更新楽しみにしてます! (2022年8月30日 0時) (レス) @page45 id: 5bb1efd8a4 (このIDを非表示/違反報告)
なつおと(プロフ) - 夢さん» コメントありがとうございます。そういって頂けるととても励みになります!一定間隔空けての更新となりますが、素敵な内容をお届けできるよう頑張りますね。 (2022年4月5日 21時) (レス) id: 10e597e23d (このIDを非表示/違反報告)
夢 - 小説めちゃくちゃ面白くて大好きです!続きがとても気になります!更新頑張ってください! (2022年4月4日 18時) (レス) id: 5b6bab53ae (このIDを非表示/違反報告)
なつおと(プロフ) - ルリさん» コメントありがとうございます。感嘆符の数だけ気持ちが伝わってきていて私も嬉しいです。これからも更新頑張らせて頂きますね! (2022年2月20日 21時) (レス) id: d342b4dd7b (このIDを非表示/違反報告)
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