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(わたくし)も護身術ぐらいなら扱えます。すべてお任せするのは申し訳ないので…北国銀行近くで待っていますから、“公子様”とのオハナシが終わり次第内容を伝えてくださると嬉しいです。手伝えることがあれば手伝います」




 「えっ、良いのか!?」パイモンがそう言って表情を綻ばせる一方、思ったよりも頑固であるらしく、旅人は眉を寄せて考える素振りを見せている。
 もうひと踏ん張りだ。「ダメでしょうか、」なんてわざとらしく質問してみると、旅人は一層悩ましそうな顔をしてから…

 「…うん、わかった」これで少しの間は任務遂行が確定された、と言っていいだろう──私への疑いがなくとも“結果が失敗”であったなら、“最悪”の状況自体にそう変わりはない。光は任務完了、ただそれだけ──今その光に一歩近づいたのだ、私は思わず心中でほっと胸を撫で下ろす。
 わずかに間をおいて、公子様が「話は終わったかな」と旅人に声をかけた。旅人はこっくりと頷き、「行こう」とパイモンを呼ぶ。そのまま、彼らは銀行へと繋がる階段へ足を向けて歩いていった。



***


 後ろ姿が遠くなっていく。彼らが背景の景色に溶け込んでいったのを確認して、ふぅと疲れを孕んだ息を吐いた。
 さて、それじゃあ私も適当に身を隠せる場所へ行こうか。公子様の様子からして旅人に色々と説明するのであろう、少々の長話になるはずだ。7分程度は居続けられる場所が良いな、と私も一行を追いかけるように朱色の階段へ足を掛ける。その階段へ足から体重を乗せて、…
 ───刹那。首根っこを掴んでぐんと後ろへ引っ張られ、私の体は為す術もなくそちらへ寄せられる。「久しぶりね、A」色気と淑やかさを兼ねた、大人の女性の声の音が耳元で鳴った。

 そこは黒い空間だった。愚人衆(ファデュイ)の空間を統べる技術を使えば簡単に作ることが出来る世界、だから私にはその空間に見覚えがあった。




「…淑女、さま」

「ほら、さっさと立って。公子にバレるとマズい事なの、すぐに済ませるわよ」




 引かれていた首筋の襟が一気に手放され、重力のままに私の体は下へ落ちる。どうにか崩しかけたバランスを保とうと片足を出して上半身を起こした。

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もゆ(プロフ) - 2024になった今でも、ずっと楽しみにしています。 (1月6日 2時) (レス) id: 72eec337ed (このIDを非表示/違反報告)
gtuysut5843…(プロフ) - 更新楽しみにしてます! (2022年8月30日 0時) (レス) @page45 id: 5bb1efd8a4 (このIDを非表示/違反報告)
なつおと(プロフ) - 夢さん» コメントありがとうございます。そういって頂けるととても励みになります!一定間隔空けての更新となりますが、素敵な内容をお届けできるよう頑張りますね。 (2022年4月5日 21時) (レス) id: 10e597e23d (このIDを非表示/違反報告)
- 小説めちゃくちゃ面白くて大好きです!続きがとても気になります!更新頑張ってください! (2022年4月4日 18時) (レス) id: 5b6bab53ae (このIDを非表示/違反報告)
なつおと(プロフ) - ルリさん» コメントありがとうございます。感嘆符の数だけ気持ちが伝わってきていて私も嬉しいです。これからも更新頑張らせて頂きますね! (2022年2月20日 21時) (レス) id: d342b4dd7b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:  | 作成日時:2021年1月25日 21時

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