薄 明 時 雨【 原神 】

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天権(テンチュエン)の声と同時に、玉京台に千岩軍が流れ込む。
　ざわざわとまた見物客が騒ぎ、私の頭はぐらりと揺れた。風神にも会いからかわれれば岩神の死にも立ち合い…私の今日一日はどうなってるんだ。




「い…一体なにがあったんだ！？今、帝君が殺害されたって…」

「…いつになく軽率ですね、今回の七星の処理は」




　一般人があの強大な岩神を、それもたくさんの人と千岩軍、そして七星のうち一人である天権サマの目の前で殺せるわけがないのに。

　そこまで言わなかったから言葉の意図がわかっていないのだろう、二人はきょとんとした顔でこちらを見つめていた。
　気に留めず私は周りを目だけでざっと見た。辺り一体には取り調べをしている千岩軍がいる。天権は既に姿を消していた。

　私の視線を追うように旅人が一人の商人と話す千岩軍のほうを見る。パイモンも同じくして「犯人がこの近くにいるのか…？怖いな…」と呟いた。




「あれ…オイラたちもその現場近くにいた怪しいものってことにならないか！？」

「…！」




　なぜだかそのパイモンの発言に反応した旅人が、いきなり私の腕を掴み素早く静かに走り出す。「ん？どこ行くんだ、？」「ちょっと、！」「っ静かに…」
　時々建物や岩の影に隠れ、相手───千岩軍兵の行動をよく見て隙をついてまた走り。理由はわからないがここは彼に合わせておこう、と私もなるだけ足音を立てないよう旅人についていき、逃げるように私たちはどんどん玉京台から遠ざかっていった。


　調べられたら厄介なモノでもあるのか、生い立ちが特殊なのか、やましいことでもあるのか。もしかしたら、旅人には“秘密”どころではない壮大な隠し事があるのでは？

　…走りながらそんなことを考えていた。彼の“妹”の存在や旅の理由が世界(テイワット)を越えたものならば、女皇陛下が監視令を出すのも合点がいく。
　しかしそれなら、その監視に私を当てはめた意味は？いくら公子様だと言っても訳もなく任務を振り当てる人じゃない、きっとなにかがあったはずだ。……これで「なんにもないけど？」みたいに言われたら怒りで理性がもたなくなりそうだが。

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