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「あっ…」
教室にいる人みんなの視線がこちらに向けられた。
ど、どうしよう…。
そう思っていたら、横からある人が助け船を出してくれた。
櫻「まだ30分は作業できるんでしょ？ 明日の朝だって早くくれば少しは作業できる。じゃあ、どうするの？」
3年2組のみんなは翔の言葉に引き込まれている。
櫻「高校最後の文化祭、立ち止まる暇なんてないんじゃない？」
翔が尋ねて、少しの沈黙の後、数人の生徒が話し始めた。
「材料、ダンボールと折り紙だっけ？」
「折り紙は大量に余ってるけど、ダンボールとのりが足りない」
「のり？」
「作るときに使った」
「よっしゃ、そこのイオンまでひとっ走り行ったるわ」
「スティックタイプな」
「ダンボールは13時ごろ取りに行ったときは既に無くなってたけど…」
「そんなん他クラス回ればゲットできるっしょ」
「じゃあ俺とこいつで行ってくるわ」
「俺も行くの？」
「ほら行くぞ！」
「はーい」
そう言って何人かの生徒が教室を飛び出してった。
「残った人たちは？」
「二階堂、何すればいいの？」
「え、えっと、折り紙を、切って…」
「おっけ！」
クラスに残った生徒は一斉に折り紙を切り出した。
櫻「で、俺はどうすればいいですか？二階堂くん」
「…ありがとうございます」
櫻「いや？俺は何もしてないけど」
「櫻井さんの言葉がなかったら、今ごろどうなっていたか…」
櫻「…無くても大丈夫だったと思うよ？」
翔は教室を見渡しながら続けた。
櫻「きっと、誰かが動いてたよ。このクラスなら。それに…」
その続きは、スタッフに呼ばれたため、聞くことはできなかった。
翔のことだ。
何か二階堂くんを応援するような言葉をかけたのだろう。
そのまま私は櫻井翔のマネージャーとして仕事に徹した。
何とか明日の朝で終わる目処がたち、下校時刻に生徒は追い出された。
私たちも他のスタッフに挨拶をして番組の収録に向かった。
櫻「どうしてあんなこと言ったの？」
後部座席から尋ねてきた。
「…あれ？笑」
櫻「珍しく温度上がってたけど」
「ちょっとね、思い出したんだ。高1の文化祭…」
私はそのまま思い出話に翔を付き合わせることにした。
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作者名：なつらい | 作成日時：2018年8月5日 17時
