私たちの空 2 (ページ29)

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「高校？」

「うん。今度仕事で行くの」

今日の仕事は夕方から。

だからお昼は佳乃といつものカフェに来た。

「高校行って何するの？」

「なんか…文化祭の取材とか」

「へぇー。Aの会社っていろんなことやってるんだね」

んー、確かにいろんなことをやってないこともない。

よし、嘘ではない…よな。

こうして心の中で自分への言い訳をつくっていたときだった。

「また2人でご飯かいな。仲ええなー」

突然私の後ろから関西弁の言葉が聞こえてきた。

「宏輝、料理人がお客にそんな口の聞き方していいの？」

「勤務時間外、なーんも問題あらへん」

「武藤くん。お疲れ」

私たちと親しく話している彼は武藤宏輝(むとうこうき)くん。

高校からの付き合いで、このカフェで料理人として働いている。

武藤くんも会話に参加し、お喋りは再開した。

「高校の文化祭！懐かしいわぁ。1年ときの上野の張り切り具合、思い出すなぁ」

「だって転校したばっかなのに代表になっちゃったんだよ？」

「そらホンマは2人やのに人数の都合で俺しか代表おらへんかったからなぁ、転校生がそこに入るんは当然やろ」

「そうなったら全力でやるしかないでしょ」

「転校生が一番やる気あるってよくよく考えたら変だよね笑私たちの何倍もクラスの人と関わってないのに」

「そらまぁ…、上野やからしゃあないな」

「何それ？どういう意味？笑」

「褒め言葉や褒め言葉」

武藤くんと話していると大体私がいじられる笑

まあいいけど笑

「でもまぁ、今の俺らがあるんは上野のおかげやけどな」

「…どうしたの宏輝、熱でもある？笑」

「急に堅苦しいけど？笑」

「だって、上野がおらんかったらメイド喫茶成功してへんやろうし、あれがあったさかい俺は料理人なろ思ったんよ」

「確かに、私もあの文化祭の衣装作りがなかったらデザイナーになってなかったかも」

「じゃあもっと私に感謝してくれなきゃね！」

「それにあの文化祭がなかったら、俺ら付き合うてへんしな」

懐かしいなぁ。

あのときの2人のぎこちないやりとり笑

「…リア充自慢？私帰るよ？」

「すまんすまん」

「もう、宏輝が変なこと言うから」

「要するに上野も彼氏作ればええねん」

「うるさいなぁ。私そろそろ仕事だから本当に行かなきゃ」

「そっか。お仕事いってらっしゃい」

「また来てな」

カフェを出て、私は仕事へと向かった。