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ご飯を食べた後、私たちは緑溢れる広場を、夜風に吹かれながら歩いていた。
夏真っ盛りの今、月が顔を出す時間になっても気温は高いままで、うっすら汗ばむほどの暑さだった。
翔の言う通り人はいなくて、辺りは静かだった。
「…！」
櫻「どうしたの？」
「翔…！」
私が指差した空には、たくさんの星が浮かんでいた。
櫻「すーげぇー」
「綺麗…」
櫻「…そこのベンチ座ります？」
「うん！」
私たちが座ったベンチからは、ちょうどいい具合に空が見えた。
「すごい…」
櫻「ね…」
私たちは少しの間、星々の瞬きに見とれていた。
櫻「明日かぁ…」
翔が独り言のように呟いた。
私はその声から、感じ取った。
「…不安なの？」
櫻「…楽しみなんだよ？ でもちょっと考えちゃうんだよね、もし客席から大きなブーイングが聞こえたらって」
「そっか…」
櫻「まあ今さら考えてもどうしようもないんだけどね」
私も最初はちょっとだけ考えてしまった。
果たしてどれくらい歓迎されるのかー。
でも最近は考えなくなった。
それはー。
「大丈夫だよ」
櫻「そう？」
「うん。だって翔なんだから」
櫻「…何それ？笑」
「翔には、逆境をはねのける力がある。そうでしょ？」
櫻「…逆境をはねのける力？」
「今までだって、翔は幾度となく前評判を実力でねじ伏せてきたじゃん」
櫻「そうかな？笑」
「"外野の言葉はシカトする"んでしょ？」
櫻「…そうだよな」
「もし客席からブーイングが聞こえたら、私がそれに負けないくらい大きな声を送るよ！」
櫻「うん」
「だから、大丈夫だよ」
櫻「…ありがとう」
「明日のステージ、楽しみにしてるね」
櫻「わかった。堂々とサクラップやってやるよ」
翔はふと腕時計を見た。
櫻「もうこんな時間か…」
「そろそろ行かなきゃね」
櫻「この景色名残惜しいなぁー」
「もー、ほら、行くよ？」
櫻「はーい」
綺麗な星空と落ち着く緑の空間に別れを告げ、私たちはホテルへ向かった。
櫻「おやすみ」
「おやすみ。また明日」
ホテルに着いた私たちはすぐにそれぞれの部屋へと向かい、お互い明日に備えた。
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作者名：なつらい | 作成日時：2018年8月5日 17時
